[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
みんなピンチな回でしたが、ある意味みんな復活な回でもありましたね。
最終回、大丈夫なんだろうか……。
『アレルヤ!アレルヤ大丈夫なの……痛っ!』
アリオスは、戦闘継続中らしい。
『…っち。どうしてこんな半壊の状況で放置されているんだ…』
セラヴィーは、半壊と言うことで痛みはあろうが、元気そうだ。
『どうしたんだよケルディム!ハロ!もっとやれ!そして俺を倒せ!』
『言われなくても分かってんだよ……っ』
『ケルディム、気合い入れ直すよ!』
ケルディムとハロはアルケーと戦闘中。
全ての仲間の様子を把握して、ダブルオーは静かに目を閉じた。
声で分かる。誰も彼もがかなりの危機を迎えているのだ。セラヴィーは一旦だろうが戦闘から外れているから今は良いが、他のメンバーは今でも激しい戦闘を続けていると見て間違いないだろう。多勢に無勢のアリオスに、敵が悪すぎるケルディム。
助けたいと思った。
目の前にいる二体の敵をどうにかしなければならないのも分かるが、それ以上に、自分の仲間たちを助けたいと思った。
それが出来なくて、どうしてツインドライヴがどうだ、などと言えるだろう。どうして高い性能を誇っているというのだろう。
全ては、仲間たちと共に、戦うため。
仲間たちを守るために。
『うあ…っ』
アリオスの苦痛に耐える声が聞こえる。
『……ティエリアは、無事なのか』
セラヴィーのマイスターを心配する声が聞こえる。
『速く…速く俺を倒してくれ!俺がお前を倒す前に!』
アルケーの悲痛な叫びが聞こえる。
『ニールの仇が目の前にいるってのに…っ』
ケルディムの苛立つ声が聞こえる。
『どうやったらアリー・アル・サーシェスを……』
ハロの必死な声が聞こえる。
聞こえるのに、何も出来ないなんて。
聞こえている意味がないではないか。
それが、悔しい。聞こえているのだ、分かっているのだ。なのに何も出来ない自分自身が腹立たしい。目の前の敵に精一杯である自分が苛立たしい。
力を。
もっと力を。
仲間を一人として傷つけさせる事のない力を。
その瞬間、ダブルオーは妙な一体感を感じた。刹那と、自分と、何かが重なったような一体感を感じたのだ。今までも似たような経験はあったが、それ以上の何かが今回はあるような……そんな奇妙さを感じる一体感。
「これは……?」
訝しく思いながらも、強い力が目覚めるのを感じた。
それはあっという間にこの宙域を覆い尽くし、埋め尽くし、広がり尽くした。多く放出されたドライヴからの粒子によって、人々の声が繋がる。
人間たちの心の会話を耳にしながら、ダブルオーが注意を払うのは仲間たちの会話。
『体が……軽い?』
戸惑いながらも、アリオスは敵機を殲滅しているようだった。
『全く……初めからこうしていろ、ダブルオー』
呆れたような、誇らしそうなセラヴィーの言葉。
『…頭がクラクラする……んだけど』
本当に頭が痛そうなアルケーには申し訳ない気持ちを抱く。
『やれる…やれるぞ!』
敵討ちを果たせると声を明るくしたのはケルディム。
ハロは何も言わなかったが、微かにダブルオーに感謝を示しているのは分かった。彼のはある程度余裕があるからこその態度だろうが、少し、照れくさかった。
ともかくだ。GN粒子をばらまきながら思う。
自分が今、皆を助けている。
助けることが、出来ているのだ。
その事実の何と嬉しいことだろう。メメント・モリを破壊する際に一度で壊せなかったこと、それによって悔いたこともたくさんあった。短い間だったが仲間と呼んでいた対象を撃った事もあった。
何かを出来ているようで、何も出来ていないのではないかと無力感を味わった、過去。
それが今、皆の手助けを。
何と……喜ばしいことだろうか。
そう思って、思わずダブルオーは口を開いていた。
「皆…」
ポツリと呟けば、どうかしたのかと通信向こうから問うような気配。
どうしようかと一瞬躊躇して、結局、全て音にすることにする。
「どうか、無事で」
返ってきた苦笑は了解なのか、無駄という意思表明なのか。
恐らく前者だろうと、ダブルオーは思った。
セラヴィーをどうしようか本気で悩みました。あの人だけ戦ってないよ途中まで。
でもセラフィムも直ぐに破壊されてねぇ……。
今回はセラフィムにアルケーがお疲れ様、でした。