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ふと思ったんですが、アルコバレーノって成長とかどうなるんでしょう?
ふつうに成長できるのかな。
008:闇
「最初見たときは何の冗談かと思ったよ」
指輪を巡る戦いから数年経って、とあるパーティ会場で。
偶然見つけてしまった旧知に捕まって、渋々世間話に付き合うこと数分……ぽつりと零れた言葉がそれだった。前々から思っていた本音だったから、つい口にしてしまったのだ。
相対していたリボーンが問うような視線を送ってきて、それがなくても話すつもりだったマーモンはそのまま言った。
「だって考えてもみてよ、闇の世界の住人がさ、表の世界で凄く楽しそうな顔してるの」
闇が表にずっと滞在していることも驚くべき事だが、それを気にしない表と闇についても驚くべきだろう、これは。表裏一体である世界だが、だからこそ分かり合うことは難しいというのに。なのに闇が綺麗に表になじんでいるというのは。
そんなことを考えながらの言葉に、リボーンは成る程と頷いた。
「確かに不思議と言えば不思議だな」
「不思議って…君のことなんだけどな」
「しゃーねーだろ。俺は一応『赤ん坊』だったんだぞ」
「こんな赤ん坊が普通の赤ん坊として扱われていたことに、僕は賞賛を送りたいよ」
ていうか、普通に受け入れていた人々に賞賛。
まぁ、それも彼相手だったからかもしれない。自分だったら間違いなく無理だろう、きっと。だって彼以上に自分は赤ん坊らしくない赤ん坊だ。その自覚はある。
アルコバレーノが赤ん坊っぽい人間たちだったら、それはそれでちょっと引くけど。これは恐らくアルコバレーノである自分だからこその意見で、普通は全く逆の意見なのだろう。真実を知らないというのは時として幸福というか。
まだ青年していないからアルコールでない飲み物を持っていたマーモンは、その液体をグラスの中でぐるりと回してみた。
「…ともかく、ずっとまえから冗談だと思ってた。現実だったけど」
「良いじゃねぇか。楽しいことは良いことだろ、バイパー」
「マーモンだって何か良いったら分かるの、君は」
分かっているくせに、わざとそうやって言うところは、昔からずっと嫌いだ。
今の自分はアルコバレーノのバイパーというよりは、ヴァリアーのマーモンなのである。
軽く睨め付けてやるがリボーンは当然のように堪える気配もなく、今は未成年のくせに持っていたアルコールを飲んでいた。
あぁ、やっぱりコイツは苛つくって言うか嫌いだ。
言い合いしながらもたまに一緒にいたりしたら、とか。