式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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一度は書いてみようと思っていたXS←B的な物。分かんないけど一度は書いてみようと思ってた。
数年後って言うか十年後シリーズの話ですか。
帰ってきてみたら、本当に貴重な物が見えた。
「うわ、こんだけ近づいても目が覚めないとか何の冗談」
談話室に入ったベルフェゴールが最初に見たのは、ソファーの上に完全に乗っかって無駄にひょろ長い体を縮めて目を閉じているどこかの銀色の鮫。
ご丁寧に靴を脱いでソファーの上に上がっていて、その上で完全に縮こまっているので、恐らくソファー後ろからでは見ることが出来なかっただろう。けれど、入り口あたりからハッキリ見えるから、そんな事実もあまり意味が無いと思う。ソファー後ろよりは談話室入り口から人が来る可能性の方が高い。
そんなスクアーロを見て、ベルフェゴールが最初にしたのは気配を絶つことだった。
何だかんだと言って相手はヴァリアー次席なのである。気配に関して何もせずにいたら、どれだけ熟睡していても、これほど近づいているのに起きなかったとしても、その内間違いなく目を覚ます。姿を認めることが出来る距離まで来てまだ起きない点を踏まえると、気配を消していたらあるいは大丈夫かもしれないが。
気配を消したベルフェゴールは、そのままそろりと足音を忍ばせてソファーの方へと足を進めた。
そうして目の前の位置に来ても。
まだ、スクアーロの目は開かなかった。
「……警戒解きすぎじゃね?」
思わず口を突いて出たのが呆れであったことは、誰に訊いても問題ないと言うだろう。何度も言うが、スクアーロはヴァリアー次席なのである。
それがよくもまぁ、寝ている状態でここまで他人の接近を許すものだ。
恐らく、靴を脱いでいることからうたた寝をしていたわけではなく、自分の意志で眠ったのだろうと推測はされる。書類とか諸々が溜まっていたから、昨夜などはそれの処理に追われていたのだろうし、これは一段落付いたからこその仮眠だろう。
だから、疲れも溜まっているに違いない。眠いのだってあるだろう。しかし、それでも起きろよバカと思わなくはないのだった。
殺気でも発してみれば直ぐにでも目を覚ますのは分かり切った決定事項だが、何も殺気がなければ相手を傷つけることが出来ないわけでもない。何気なくナイフを出して切り裂くことだって出来るのに。あぁ、でもそれをしようと無意識下でも思えば目を覚ますのか。髪に傷を付けようと思い出もしたら確実だ。
では、触れてみるのはどうだろう。
ベルフェゴールは何も持っていない右腕を上げ、そろりとスクアーロの方へと伸ばした。もちろん傷つけようという意志も、殺気も無い状態である。
結果、伸ばした指先は体温低めの鮫の頬に触れた。
身じろぎはされたがそれだけで、起きる気配など全くない。
これはどうなんだろうと、本気で思った。自分だから良いのかもしれない…いや、自分だからこそ起きなければいけないと思うのに。それがよくもまぁ。指輪争奪戦から何年も経って、わりと昔よりは落ち着いたとは思っているけれど、所詮昔と比べたらの話なのであって。今でも殆ど何も変わってないのに。ていうか変える気がないのに。だって王子だし、わざわざ下々の人間のために変えてやる道理もないし。
にしてもこの状況、いっそ脳天気すぎると笑い飛ばしても良いんじゃないかと思う。これで指されても殺されても文句は言えないだろう、きっと。
そうなると湧いてくるのがイタズラ心というもので、プニプニとつつくことに使っていた指を、今度は頬をぐにーっと伸ばすのに使ってみる。あ、少しだけ寝苦しそうな顔した。けれどまだ起きない。起きろよいい加減。
手を離し、少しかがめていた体を起こして、ベルフェゴールは跳ねている髪をわしわしと掻いた。どうするんだこの状況。
ここまで無防備だと、もっと別のこともしたくなって来る。
だが……それの実行は中止しなければならないようだ。談話室入り口あたりからの視線が何だか痛い。
少し笑みを浮かべ、ベルフェゴールは振り返った。
「ボス、何でそんな怖ーい顔してんの」
「さぁな」
不機嫌そうなザンザスはそのままつかつかと歩み寄ってきて、近すぎたベルフェゴールとスクアーロの顔を、ベルフェゴールの髪を引っ張ることで引きはがした。流石にスクアーロの方は寝ていたから対象にしなかったのか。
痛みに微妙に顔をしかめて、ヴァリアーのボスを見上げる。
「ちょっとくらい良いじゃんか。少しくらい貸してくれたってさ」
「生憎、こいつは貸せるほど大層なもんでもねぇからな」
「……ふぅん」
じゃあ、その大層でもない物を傍に置いているザンザスはどうなのだろう。
そんなことを思ったが、ベルフェゴールでもそれを口にするのははばかられた。まだ二十代だというのに死んでしまうのはごめんだ。
肩を竦めて、談話室から出ようと足を運んだ。面倒でも報告書は書かなければ。
そして、出る前に一度だけ。
「ボス、横から掻っ攫われないように気をつけてね」
「んなマネ出来るヤツがいるなら、是非とも見てみてぇもんだがな」
返ってきた応えは余裕の笑みだった。
でもベルは今のバランスが好きだから、本当には何かしたりはあまりしないっていう感じで。
「うわ、こんだけ近づいても目が覚めないとか何の冗談」
談話室に入ったベルフェゴールが最初に見たのは、ソファーの上に完全に乗っかって無駄にひょろ長い体を縮めて目を閉じているどこかの銀色の鮫。
ご丁寧に靴を脱いでソファーの上に上がっていて、その上で完全に縮こまっているので、恐らくソファー後ろからでは見ることが出来なかっただろう。けれど、入り口あたりからハッキリ見えるから、そんな事実もあまり意味が無いと思う。ソファー後ろよりは談話室入り口から人が来る可能性の方が高い。
そんなスクアーロを見て、ベルフェゴールが最初にしたのは気配を絶つことだった。
何だかんだと言って相手はヴァリアー次席なのである。気配に関して何もせずにいたら、どれだけ熟睡していても、これほど近づいているのに起きなかったとしても、その内間違いなく目を覚ます。姿を認めることが出来る距離まで来てまだ起きない点を踏まえると、気配を消していたらあるいは大丈夫かもしれないが。
気配を消したベルフェゴールは、そのままそろりと足音を忍ばせてソファーの方へと足を進めた。
そうして目の前の位置に来ても。
まだ、スクアーロの目は開かなかった。
「……警戒解きすぎじゃね?」
思わず口を突いて出たのが呆れであったことは、誰に訊いても問題ないと言うだろう。何度も言うが、スクアーロはヴァリアー次席なのである。
それがよくもまぁ、寝ている状態でここまで他人の接近を許すものだ。
恐らく、靴を脱いでいることからうたた寝をしていたわけではなく、自分の意志で眠ったのだろうと推測はされる。書類とか諸々が溜まっていたから、昨夜などはそれの処理に追われていたのだろうし、これは一段落付いたからこその仮眠だろう。
だから、疲れも溜まっているに違いない。眠いのだってあるだろう。しかし、それでも起きろよバカと思わなくはないのだった。
殺気でも発してみれば直ぐにでも目を覚ますのは分かり切った決定事項だが、何も殺気がなければ相手を傷つけることが出来ないわけでもない。何気なくナイフを出して切り裂くことだって出来るのに。あぁ、でもそれをしようと無意識下でも思えば目を覚ますのか。髪に傷を付けようと思い出もしたら確実だ。
では、触れてみるのはどうだろう。
ベルフェゴールは何も持っていない右腕を上げ、そろりとスクアーロの方へと伸ばした。もちろん傷つけようという意志も、殺気も無い状態である。
結果、伸ばした指先は体温低めの鮫の頬に触れた。
身じろぎはされたがそれだけで、起きる気配など全くない。
これはどうなんだろうと、本気で思った。自分だから良いのかもしれない…いや、自分だからこそ起きなければいけないと思うのに。それがよくもまぁ。指輪争奪戦から何年も経って、わりと昔よりは落ち着いたとは思っているけれど、所詮昔と比べたらの話なのであって。今でも殆ど何も変わってないのに。ていうか変える気がないのに。だって王子だし、わざわざ下々の人間のために変えてやる道理もないし。
にしてもこの状況、いっそ脳天気すぎると笑い飛ばしても良いんじゃないかと思う。これで指されても殺されても文句は言えないだろう、きっと。
そうなると湧いてくるのがイタズラ心というもので、プニプニとつつくことに使っていた指を、今度は頬をぐにーっと伸ばすのに使ってみる。あ、少しだけ寝苦しそうな顔した。けれどまだ起きない。起きろよいい加減。
手を離し、少しかがめていた体を起こして、ベルフェゴールは跳ねている髪をわしわしと掻いた。どうするんだこの状況。
ここまで無防備だと、もっと別のこともしたくなって来る。
だが……それの実行は中止しなければならないようだ。談話室入り口あたりからの視線が何だか痛い。
少し笑みを浮かべ、ベルフェゴールは振り返った。
「ボス、何でそんな怖ーい顔してんの」
「さぁな」
不機嫌そうなザンザスはそのままつかつかと歩み寄ってきて、近すぎたベルフェゴールとスクアーロの顔を、ベルフェゴールの髪を引っ張ることで引きはがした。流石にスクアーロの方は寝ていたから対象にしなかったのか。
痛みに微妙に顔をしかめて、ヴァリアーのボスを見上げる。
「ちょっとくらい良いじゃんか。少しくらい貸してくれたってさ」
「生憎、こいつは貸せるほど大層なもんでもねぇからな」
「……ふぅん」
じゃあ、その大層でもない物を傍に置いているザンザスはどうなのだろう。
そんなことを思ったが、ベルフェゴールでもそれを口にするのははばかられた。まだ二十代だというのに死んでしまうのはごめんだ。
肩を竦めて、談話室から出ようと足を運んだ。面倒でも報告書は書かなければ。
そして、出る前に一度だけ。
「ボス、横から掻っ攫われないように気をつけてね」
「んなマネ出来るヤツがいるなら、是非とも見てみてぇもんだがな」
返ってきた応えは余裕の笑みだった。
でもベルは今のバランスが好きだから、本当には何かしたりはあまりしないっていう感じで。
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