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この二人は十年たっても相変わらずだったら嬉しいかも。
011:鍵
お前の部屋のだと渡された高級ホテルの鍵の部屋番号を見て、山本は目を丸くした。
「獄寺、これ……」
「十代目と同じ部屋の鍵だ」
かなり不機嫌そうな顔で、ボンゴレ十代目の右腕とされる男は答えた。
「今夜の護衛はテメェに任せるとおっしゃられていた。そういうわけだからヘマだけはすんじゃねぇぞ、テメェのミスがそのまま十代目の危険に繋がるんだからな」
「心配ないって。俺だってそんな事態は嫌だしな、ミスはしないって」
「…どうだか」
ふいと視線を逸らし、釘を刺すような言葉しか言わない獄寺だったが、それは恐らく彼でなくて自分が護衛に選ばれた事に対する不満をぶちまけているだけだろう。本心からの言葉ではないと分かるのは、もしも本心からの言葉であったら実力行使で鍵を奪われているところだからだ。獄寺は、綱吉の危険に繋がるような事態だけは忌避すべきだと思っているようだから。まぁ、そこは山本としても同じだが。
仕方ない事態だろうにと、こっそりと苦笑する。
しかしそれには気付かれなかったようで、山本の苦笑に反応せずに、獄寺は次は直接的な不満を零し始めた。
「十代目もどうしてテメェなんて選ばれたんだ……俺の方が完璧に出来るのに…」
「ってお前、交渉で飛び回ってる間殆ど寝てないだろ」
今までずっと彼が夜間も護衛をしていたから。その間、もちろん仮眠だとか、夜だって浅い眠りとかは取っているはずだが、それだけの睡眠で体の方が満足してくれるかといえば決してそうではないだろう。
つまるところ、綱吉は獄寺の心配をしているのだ。そして、それが分からない獄寺でもないだろう。
案の定、獄寺はその言葉を受けて何とも言い難い顔をした。
数秒後、盛大にふてくされて獄寺は呟いた。
「けどやっぱり何か苛つく……選ばれたのがテメェってのが…」
「いやいや、来てる守護者俺らだけだし仕方ないんじゃ」
「んなもん知るかッ!」
「知るかって、お前な…」
本当に綱吉が大好きなのだなと再び苦笑。
今度はしっかりと見とがめられて、なんだその顔波と訝しげな目を向けられてしまった。
獄寺は永遠に十代目命!だと思うからね。