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イノベイター関連と言いながら、結構むしろアロウズ、って感じです。
登場人物はまぁアロウズのイノベイターと言えばある程度分かるだろうし、あとは…うん、あれだ。
結婚おめでとう!凄く今更だけど!
07.ノラネコ
「……何だ、その黒い物体は」
目を丸くしてマネキンが見た先にあったのは、リヴァイヴと、その腕の中に抱かれている黒い毛玉。大きさからして恐らく子供だろうそれは、元気そうに見えるが意外と大人しく腕の中に収まっていた。
そんな物体を抱いて、リヴァイヴ一同は口を開いた。
「猫ですよ、猫」
「さっき偶然見つけたから拾ってきたの」
「大佐ー、飼ったって良いですよねー?」
「……ダメか?」
「……貴様ら」
思わず眉間を揉みほぐした自分の反応は決して間違いではないだろう。ここはアロウズだ。残虐非道な作戦ばかりの……というのは置いておくとして、ここがアロウズであるということはつまり、ここは軍隊であるということである。
そこで猫を飼う、など。
「無理に決まっているだろうが!」
「っ……ですが!」
「作戦中の世話は誰が見るんだ!言っておくが貴官らは確実に無理だからな!?MS隊の貴官らは確実に無理だからな!?」
「私たちライセンス持ちだもん!いざとなったらその権限使うから大丈夫!」
「カタギリ指令に言いつけるぞ!」
リヴァイヴとヒリングの訴えを退け、体の全体重を椅子に預ける。
……前々から、ライセンス持ちは自由すぎると思ってはいたのだ。頭の色がとりどりすぎる彼らだけではなく、某武士道も。某武士道の場合はこういう風になるのはガンダムを前にしたときだけだから、まだまだ扱いは易い物だが……そうか、こちらはこうなるのか。コーラサワーが一緒だからかもしれないが、これではまるで児童を相手にしている気分だ。
「……ともかく、その猫は隊の誰かの家に引き取ってもらう」
「…元いたところに戻してこいとは言わないのか」
「拾ってきてしまったのは変え難い事実だからな」
拾ってきたのに直ぐに捨てる、というのはあまり良い行動ではないだろう。
「ともかくだ……貴官らが飼うのは無理だろう。作戦中は誰も面倒を見れるのがおらん」
「じゃあ大佐が」
「出来るわけ無かろう」
自分は司令塔だ。猫にばかり構ってはいられないし、構っていたら作戦が疎かになる可能性だってある。そんなヘマをする気はないが、念には念を入れるのが作戦指導者としての役目とも言えるだろう。
「…でも」
と、ヒリングがふっと言葉を零した。
「飼い主が見つかるまでは、ここにいるのよね、猫」
「…!そうです!ということは、飼い主を抹殺していけば猫はずっと……」
「阿呆か!」
味方を減らしてどうするつもりだ、このライセンス持ちども。
思わず机を手のひらで思い切り叩き付けながら立ち上がり、ビクッと四名が肩を振るわせたのを確認して…再び、ため息を吐きながら椅子に戻った。
何故だろう、頭が痛い気がするのだが。
「た……大佐…?」
「……良いか?猫の飼い主はちゃんと探せ。手を抜くことは私が許さん。それからな、飼い主の抹殺を目論むのも禁止だ」
「え……」
「分かったか?」
「……はい」
観念したように頷く四名に、散れ、と言わんばかりに手を振る。
「期限は三日以内だ。見つからなかったら訓練の量を二倍にするからな」
「えぇぇぇ!?」
「文句があるなら三倍に増やすが?」
「……」
途端に黙り込んだヒリングはリヴァイヴとブリングに引きずられて行き、最後まで残っていたコーラサワーもギロリと一睨みしてやったら直ぐに退散した。
ようやく騒がしいの……と言っても、一人は殆ど喋っていなかったが……が消えて静かになった部屋の中で、マネキンは通信機を手に取った。
「……カタギリ指令ですか?は、カティ・マネキン大佐です。今回の通信はその……大変申し難いのですが、ライセンス持ちのライセンスを剥奪…無理は承知ですが、そこを何とか……あぁ、某武士道…もとい、ミスター・ブシドーの方は放っておいても構いませんが、あの三人組の……」
大佐っていうか、00終了時点では准将になったカティ・マネキン准将が本気で学校の引率の先生っぽい…。