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私的黒コンビです。何か二人とも黒い服をよく着てそうだし、黒いの似合うし。
016:漆黒
雲雀は今、ヴァリアーの本部まで来ていた。理由はない。強いて言うなら暇、だったからだろうか。暇で暇で仕方なく、一人でぼうっとしているのも暇に拍車を掛け、とにかく何かしていたいと思ったから、だろう。こちらに来れば群れることなく程良い距離感を作る話し相手を確保だって出来るだろうし、あの王子がいたら手合わせしてみるのも良いかもしれない。そんな考えもあった。
結果、雲雀はザンザスという話し相手を捕まえることが出来た。
相手は本当に不愉快そうで、いつも以上に苛立っているような、そんな彼の様子を見ているだけで面白く、暇が潰れるから良い。手合わせの方が良いのだけれど、そんなことをしたらこの建物が壊れるからと厳重にスクアーロに止められているので。
と、雲雀はそこに思い至った。そう、スクアーロ。
「ねぇ、今度スクアーロを貸して。戦いたいし、貴方たちだけで独占するのもずるい」
「群れるのは嫌いじゃなかったのか?」
「彼は程良く距離を作ってくれるから良いんだよ。僕だって誰とも会わないワケじゃないんだから」
現に、今だってこうしてザンザスと話している。彼の場合は無駄に馴れ合おうとしないその態度があり、そこが割と嫌いではない箇所。
で、どうなの?と話し相手を見やると、ザンザスは呆れたように息を吐いた。
「跳ね馬といい山本武といい……どうしてそんなにあのカスを気に入ってんだ」
「それは貴方にだけは言われたくない言葉だね」
ふぁあ、と欠伸をしながら雲雀は笑みを浮かべた。
「でも…そうだね、理由としたらやっぱり、目立つからじゃない?」
こんな裏の世界に属しているのに、何か妙に白いから目立つ。だから気になってフラリと寄ってみるような、そんな感じなのではないだろうか。一番簡単に言い表すならそれが正しいだろうが、まぁ、それが全てでは無いとも思う。
だから、雲雀は言葉を続けた。
「それにさ、彼、さっぱりしてるから一緒にいて楽」
「やる事なす事がやけに重てぇがな」
「良いじゃない、そのくらい」
それに、雲雀さんは弟妹同盟の一員ですからね。
弟妹同盟…なんか分からないけど、凄く当たり前のように私の中に存在してる…。