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それは一瞬のことで、辺りが一面白い光に包まれたかと思うと、次の瞬間にはこの場にいた大多数のメンバーの姿が無くなっていた。
唖然と、ネーナはヨハンとミハエルと顔を見合わせる。
一体、何が。
……と思って違和感に眉をひそめる。
何が変なのだろうと、今でも十分に変すぎる状況の中で考え……分かった。
「ミハ兄どうしてここにいるの!?」
「そんなん俺が知りたいっての!気付いたらここにいたんだよ!」
「ちょっ…じゃ、他の人はどーなってるわけ!?」
「だから知るかって!気付いたらここにいたんだからな!」
「……混乱するのは分かるが少し落ち着け」
思わずミハエルと一緒に言い合いをしていると、横から冷静なヨハンの言葉が届いた。
ハッとして、そうだったと恥ずかしさを紛らわすために頬を少し掻く。
そうだった。今は、ミハエルが突然現れたこと以上に、他の突然になくなったメンバーについて考えなければならない。現れた場合はその安否を目で確認することが出来るが、いなくなったメンバーは見えない分、不安だ。
とりあえず、先ほどの状況の中で気付いたことを挙げることにする。
腕を組んで、考え考えの中でネーナは口を開いた、
「何かさ、白い光がばーって広がった気がするんだけど」
「あぁ、それは私も思ったな」
「俺は何もなかったぜ。気付いたらここって感じ」
ま、こっちには来ようかと思っていたから丁度良いんだけど。
そう続けてミハエルは辺りを見渡して…で?とこちら、というかヨハンを見た。この場で何があったのかを知りたいらしい。宿のドアが吹っ飛んでいて、明らかに戦闘があったような痕跡を残すこの場を見て、気にならないわけがないので納得だ。
何だかんだと言って、自分たちは多分戦闘職。
…その戦闘職が何なのかがイマイチ分からないけど。
「戦闘があってな、一人いた敵も一緒に消えてしまった」
「一人?ってことはそいつが何かしたってことか?」
「それは断定しない方が良い」
壁にもたれかかりながら、ヨハンはそう言う。
ネーナも、それには同意見だった。見た感じ、相手にこういう力はないように思えた。あるのなら、もう少しくらい余裕という物を持っていても変じゃないのに、彼はいっぱいいっぱいであるように見えたから。
「じゃあさ、自然現象ってどうかな?」
「いや……それはかなり無理があると思うが」
「えぇ?だって、敵は出来ないんでしょ?私たちは有利だったからやる理由ないし、ってことは自然現象しか無いと思うんだけどなー」
どこがいけないんだろうかと案に関して考え込んでいると、小さく息を吐いて長兄は口を開いた。どこか、呆れた様子で。
「自然現象ならもっと知られているだろう。ここは人間の住む場所だぞ」
「どういうこと?」
「人間は人間単体では基本的に、我々のような能力は使えないということだ」
分かったか?と視線で問われ、ミハエルと視線を合わせてから再びヨハンの方を向いて、一緒に首を振った。全然分からない。
「……つまりだがな、人間がいるだけでは起きようもない現象だ。他の、人間以外の誰かが起こしているのではと思うのは不思議でもない。この、人間だけが住んでいるとされている都の中で、だ。人間しか住んでいないと、絶対に安全だと思われているこの場所で、だぞ?大騒動になって然るべきだろう。まさか、最近突然に起こり始めた現象、などという話でもないだろうしな」