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色々と捏造入ってますというか、捏造しかないシリーズですが今後ともよろしくお願いします。
今回は、初代と、二世と、二世の雨と、二世の嵐がでます。



「餅つきしないか?」
「帰れ」
 いつもの似たようなやり取りに、二世の雨は薄く笑った。
 本当に平和な昼下がりだ。日差しもポカポカと暖かいし、風もソヨソヨと心地よい。何よりも今現在、周りから銃声が聞こえない。耳に届くのは鳥の鳴き声と、あとはあ初代と二世の言葉くらいの物か。
 平和主義者となるつもりはない。
 しかし、たまの休息は必要だ。
 ベンチに座り平和の象徴とも言えそうな、初代の思いつきと、それを拒否する二世のやり取りを聞きながら、膝の上に座ってウトウトとしている子供の金髪を梳く。彼は七歳ながらも高い戦闘能力を持つ、二世の嵐の守護者だった。子供が両手でギュッと抱きしめているのは、彼お気に入りの、彼の上半身ほどの大きさのある、ナイフが中に仕込んであるウサギのぬいぐるみである。
「…てかよ、どうして突然餅つき?」
「いや、うちの雨が日本にそう言う行事があると言っていたからな、一度くらいはやってみても良いかと思っただけだ」
 隣に腰掛け腕を足を組んで初代は言い、自分のもう片方の隣で座っている二世から視線を外した。そして、次に移されたのは自分の顔。疑問に思ってついつい問いかけてしまったが、どうやらそのせいで次の話し相手にされてしまったらしい。
 これは自業自得なので大人しく付き合うことにしよう。
 そもそも、相手は初代様なのだし。
「二代目の雨、君はどうだ?参加しないか?」
「ボスが許可くれりゃーなー。見学くらいはしてみてぇけど」
「それなら大丈夫だ」
「…?」
 大丈夫、というのは許可云々の事か。正直、言っておいて何だが、二世が許しを出すとは思えないのだが……どうなのだろう。そう考えると非常に不思議な返答で、付け加えると二世もいぶかしげな表情をしていた。
 そんな自分たちの視線を向けられ、しかし初代は何でもないように言った。
「俺は初代だから二世より偉い。よって俺の言葉は二世よりも優先度が高く、俺の言うことはボンゴレ内で未だに絶対だと言うことだ」
 それはつまり、AがBよりも、BがCよりも強ければAはCより強い、という理論なのか。大変分かりやすい道理ではある。
 だが。
「それってつまり、二世が拒否っても意味ねぇよなぁ……」
「あぁ。俺が声をかけた人間は全員強制参加だ」
 なら最初の二世への言葉は勧誘と言うよりは宣告なのか。
 うわぁ……と思いながら、ちらりと二世の雨は主の方を見やった。この手の事態を良しとはしない主だ、少しでなくイライラとしているのが少し確認しただけでも分かる。
 両側から感じられる、一方は平然と平静としている、一方は隠しようもない苛立ちを纏う気配に、ため息を吐いた。平和な時間は早くも終わりを迎えるらしい。二世と小さな嵐と一緒にいたところで初代が来た時に予測は付いていたが、それでも思うところはある。
 そんなこちらの思いも知らず、二人は互いに口を開く。
「俺は行かねぇ」
「だから、拒否不可と言っただろう」
「誰が聞くか。行かねぇからな」
「聞き分けのないヤツだな」
 呆れたように初代が言うが、一番聞き分けがないのは言っている張本人だと、誰か言って聞かせてはくれないだろうか。
「とにかくこれは決定事項だ。不参加はボンゴレへの背反とみなす」
「なっ…」
「初代権限だ」
 フッと笑い、初代は足を組み直した。
 二世へとボンゴレに関しての諸々は既に受け継がれている。それは主が『二世』と呼ばれていることからも伺える。が、相手はなんと言っても『初代』なのだ。彼がボンゴレを作り出したのだから、たとえそうであっても彼の影響力は大きい。ボスの座を譲ると言ったときに、幹部の何人かが嬉し泣きをしたという噂が流れるような相手でも、だ。
 …だからといって、その権限を乱用するのはどうだろう。
 ていうか、餅つき参加を拒否しただけで反逆ってどんだけ。
 とにかく色々と突っ込みたい箇所がある初代の言葉だが、それよりもまず自分は小さな嵐と一緒にこの場を離れなければならない気がする。理由は簡単で、二世がそろそろ本気でキレそうだからである。
 小さな嵐を抱きかかえ、ベンチから立ち上がってゆっくりと二人から離れる。どちらも何も言わないのは、どちらもがこの後のことが分かっているからだろう。分かってるならどうにか止める努力をして欲しい物だが、この二人の性格からしてそれは無理な相談だ。
「テメェ…いい加減にしろよ」
「何を言う。権限は使ってこその物だと思うが」
 続いている初代と二世の会話を背中で聞きながら、城の中へと足を踏み入れ…途端に後ろから聞こえてくる破壊音、爆音、怒声。
 それらは寝ていた小さな嵐を起こすには十分すぎるほど十分で。
「ん……」
 身じろぎをした小さな体に、視線を下に向ける。
「起きたか?」
「…これで寝てられたら奇蹟じゃね?」
「確かに」
 起こされたことがよっぽど不服なのか、少し頬をふくらませている子供に微笑みかける。
 そのまま、もう子供は起きてしまったから気を遣うことはないので、微妙に歩みを速めて城内を進む。ここは一応安全な場所だが、そのうち間違いなく戦場になる。修理費が結構大変なことになりそうだ。
 そんな自分の鮎見に何かをかぎ取ったのか、小さな嵐は目をこすりながらこちらを見た。
「どーかしたの?」
「またボスどものケンカが始まったんだよ」
「ふーん。懲りないね、二人とも」
 しみじみと言う子供に心の中で賛同する。本当に。
 ……まぁ。
「餅つきは興味、あったっちゃあったんだけどよ…」
「モチツキ?って何?」
「日本の方の行事っぽい何か。前に初代の雨に聞いててよ、ちょっと気になってた」
 他愛のない会話の間も、後ろから聞こえる何かが壊れる音。
 これも日常と言えば日常だった。






初代と二世の戦い…修繕費とか本気で大変そうだ…。
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