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ご無沙汰00のAnother Storyです。
二期のは全部やったから、次は一期のを…普通逆だけどね…流れ。
「地上は大丈夫かなぁ……」
宇宙の暗闇を飛びながらキュリオスが思うのは、地上でミッションを行っている二人……エクシアとデュナメスのことだった。
まさか倒される事なんて無いと思うけれど、万が一と言うこともあるし……などと思っていると、何だか不安で不安でどうしようもない。こんな事を思うのは失礼なのかも知れないけれど、それでも不安な物は不安なのである。
しかし、その前に自分もキチンとミッションをクリアしなければならないのも事実。
「うぅぅぅぅぅ…失敗したらどうしよう…」
「その時のために俺がいる。そこまで不安がらなくても構わないと思うが…」
「だってだってだって………………怒らない?」
直ぐ傍で同じく飛んでいるヴァーチェに恐る恐る訪ねれば、そんなことか、と彼は小さく溜息を吐いた。そこに含まれているのは呆れと言うか……もっと優しげな何かのような気がした。けど、実際は何なのかは分からない。
とにかく、神妙に彼の次の言葉を待つ。
「ヴァーチェ……どうなの?」
「約束する。少し取り逃がしたところで、怒りはしない。まぁ……一機も落とせなかったら怒るかも知れないが…それはお前に対してではないな」
「アっ、アレルヤのことも怒ったらダメだよっ!」
慌ててキュリオスはそう言った。
ヴァーチェが怒ると怖いのだ。エクシアと戦闘紛いのケンカをしていることだってしばしば見られるし、そこに自分のマイスターを巻き込むのは……とても怖い。嫌とかそういう問題でなく、とにかく怖い。無事で帰るのは…多分無いし。
しかしヴァーチェはフッと笑い、視線を前方へと移した。
「安心しろ。今のところは冗談だからな」
「今のところ、で、どうやって安心するの……?」
むしろ余計に怖くなった気がする。
ヘナヘナと黒い不思議な小部屋、そこにへたり込んで、キュリオスは画面向こうのヴァーチェを見上げた。
……本当に不思議。本体の中にいると、本体そのものであると同時に、この小さいとも言い難い小部屋の中にいる状態になる。相反する感じはするけれど、情報が二方向から届いても処理できないことはないので、それほど問題にはならない。
そして、不思議なのはこの通信も、また同様である。一緒に飛んでいるので直ぐ傍にいるようにも感じられ、同時に画面向こうにしかいないようにも感じられる。なのに、その感覚が対立さえしていないという奇妙さがあった。
けれど、慣れることなく始めからこれが当然だった。
「ねぇ、本当にテロリストは来るのかな…?」
「来る。キュリオス、お前もあのアル中予報士の腕は知っているだろう」
「アル中予報士じゃなくて戦術予報士だよ?」
「アル中で十分だ」
バッサリと切って捨てて、次の瞬間、ヴァーチェはニヤリと笑みを浮かべた。
「噂をすれば、というやつだな。お出ましだぞ」
「え?僕ら、もうエレベーターに着いたの?」
「自分のスペックくらい把握しておけ……では、俺たちは指定ポイントで待機する」
「うん。僕らは出来るだけ、テロリストを撃ち落とすんだよね?」
「あぁ。任せたぞ」
そういって去っていくヴァーチェを見送りながら、キュリオスは嬉しいような、物悲しいような気分に陥った。
ヴァーチェに『任せた』と言ってもらえるのは、とても嬉しい。信頼されているという証明だし、戦友として認めてもらえている証拠だから。
けれど、これから自分は人を殺すのだ。シュミレーションではなく、本当に。実際にこの手で人を……殺めるのだ。
それが怖くないと言えば嘘になるのかもしれない。
しかし、悲しくはあっても後悔はないのだろうと、キュリオスは漠然と理解していた。
何故なら、自分は。
「僕は…」
つらつらと思っている撃ちにテロリストのMSが射程範囲内に入る。
「だって僕はガンダムだから。それに…アレルヤだって覚悟を決めてる」
だから。
「僕も覚悟を決めて……撃つよ」
キュリオスはアレルヤの操縦のまま、MSを打ち落とした。
「ごめんね、ヴァーチェっ!一機…落とせなくて…」
「…そのことか」
作戦終了後、まだ地上にいるエクシアとデュナメスをトレミーで待っている時に、キュリオスは先ほどのミッションのことを謝った。あともう少しだったのに……結局、彼の手を煩わせてしまったから。
何となく顔を合わせづらくて俯いていると、ポンと、頭に暖かな温もりが触れた。
「お前にしては頑張った方だと、俺は認めているんだがな」
「……うん」
「こう言うときは…お疲れ様、とでも言うべきか?」
その言葉に顔を上げて、キュリオスは微笑んだ。
「そうだね。だから僕から言うよ……お疲れ様、ヴァーチェ」
初っぱなからキュリオスなのは、やっぱりキュリオスが好きだからです。