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GW(ガンダムウイング)(ゴールデンウイークにあらず)はガンダムが大変な目に遭うから何だか辛い……。
もちろんパイロットもかなり大変な目に遭ってますがね…。
「へぇ……こんなところがあったんだ」
「僕も存在は知ってたけど……うん、来るのは初めてかな」
辺りをキョロキョロと見回すデスサイズに、サンドロックは苦笑を浮かべながら答えた。
その、砂漠の中にある国へと匿われた自分たち二人は、とりあえず……と実体化して『上』へと出ていた。下にいてもどうせメンテナンスだけだし、ならそれはマグアナックの人たちに任せて自分たちは上がっても良いだろうという話になったのである。
異論はなかったから、サンドロックもデスサイズからの提案を素直に受け入れた。
それに……何となく、そう言うことを言った彼の気持ちも分かるから。
「そーいえばさ、サンドロックは金とか持ってる?」
「残念ながら。だからお店で物を買うとか無理だからね?」
「ま、それが無くても見るだけで十分に楽しいし」
ここ、平和だよな。
そう続けて、デスサイズは静かに笑んだ。
彼のその表情を見て、ほんの少し痛い気持ちになるのは間違いなのだろうか?
そんな自分に構うことなく、というか気付いてもいないだろうし気付かせる気もないのだが、彼は、あ、と建物のとある一室を指さした。
「サンドロックのパイロットがいた…ってことはデュオもあそこにいんの?」
「多分ね。話したいこともあるようだし。あと、僕のパイロットはカトル、だよ」
「カトル、か。……ん、覚えた」
「僕もちゃんと覚えたよ。デュオ、だね?」
サンドロックと同様に人型を取って隣を歩く彼のパイロットの姿を思い浮かべ、彼なら大丈夫だろうなと思う。まだ良くは知らないけれど、とりあえず悪い人では無さそうだったから。それならちゃんとデスサイズのことを任せられる。
自分たちには使い手を選ぶ権利はない。それは道具だから当然だし、自分たちみたいに自分の意志を持っていようと、その意志を具現化させて人型を取ることが出来ようと、何ら変わりはないのである。不変の道理、とかいうやつだ。
だから自然と使い手に対して『アタリ』と『ハズレ』という感覚を抱くようになる。割り切っていようと嫌な使い手は嫌なままだし、良い使い手は良い。それだけの話。
そういうわけだから、良い使い手に当たることが出来たらそれは幸運なのだ。
「…何話してるのかな」
「これからのコト、とか?俺たちってお尋ね者だし、見つかったらまずいだろ?」
「確かにね……」
今や、自分たちの存在の有無がコロニーを危機にさらすかどうかを左右する事柄になっている。だから彼の言うとおりに見つかれば大変なことになるし、だからといって何もしなければここまで来た意味はパイロットたちには無いだろう。自分たちに至っては存在理由をまっとうできない。
まぁ、こんな状況になってまで存在理由なんて言う気はないが。そんな余裕はどこかへ言ってしまった。というか初めから、そんなものは気にした記憶もない。あるのは存在理由と言うより存在目的だ。
何か難しい話だなぁと苦笑していると、ふいに騒がしくなった人々の様子に眉をひそめる。平和、とデスサイズが表現した様子が一変した感じがする。
同じく異変を感じたらしい、デスサイズは周りに注意を払いながらもこちらを見た。
「……何かあったのか?」
「…分からない」
本当に分からない。この今の様子が自分たちの本体がここにあるからなのか、それとも違うのか。それすらも全く分からない状態だった。
「…ただ、情報収集は必要だしね。司令室にでも行く?もちろん実体化は解いて、精神体の状態でね。そうしたら誰も僕らのことは見えないし」
「賛成…ってちょっと待て」
「どうかした?」
突然引き留められて訝しく思うと、デスサイズはすっととある方を指さした。
「あれ、OZの制服じゃないか?」
「あれって?…あの黒いヤツ?」
「そう。ちょっと遠いから見にくいけど…っていうか、制服の方はあまり見てないから断言しにくいんだけどな」
自分たちは対人間ではなく対MSの戦いをしているから、確かに人間の制服なんて言われても分からない。が、少し見て記憶していたのと、あまり様子は変わらないように思えた。……ということは。
「やっぱり、OZ…僕らを追いかけて…?」
ポツリと呟くと、デスサイズは腕を組んでどうだろ、と零した。
「…見つかってなかったはずだよな。砂嵐とかに紛れてたし、ここに俺らがいることは確認できてないと思う……けど、どうだろな」
「……そういえば、この国ってちょっと目を付けられているか持って言う話、だったらしいよ。反発してたそうだし」
だったら納得もいく。自分たちではなくこの国そのものを襲ってきたというのなら。
だが、この国には一般人もいるのだ。
それを思うと、表情も曇る。……もしかしたら、一般人が傷つくかもしれない。
けれど、今の自分たちには何も出来ないのだ……姿を現さないことが、何よりも重要な事となっている今だから。
口惜しさを感じながら、サンドロックはデスサイズと共に司令室へと足を向けた。
何かしたくて、何も出来なくて辛いのはみんな同じだろうね…。