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正直、弟妹同盟はシリーズ化しそうな予感です。
だってまだネタが浮かんできます…。
「ん?何だこれ」
それを見つけたのは、本当に偶然だった。
何となく通りかかった中庭のテラス。そこにある机の上に、一枚の紙切れが重しも無しに置いてあったのである。幸いに、今日は風もそんなに強くない日だった物の……場合によっては飛んでいっても文句は言えない状況。
何なのだろうと、山本はその紙を手に取った。見終わったら石か何かを置いて重しにして、そのまま去っていくつもりだった。
しかし。
「……いや、本当に何だろな…これ」
そこには、こうあった。
~弟妹同盟心得~
壱、 ヨコシマな想いは抱かないこと
弐、 彼に相応しい相手を探すこと
参、 相応しくない相手は駆逐すること
四、 彼のことは独り占めしないこと
伍、 ただし四は時と場合による
六、 とりあえず彼を守りきること
七、 ただし六も時と場合による
八、 ……
それから下もずらずらと並んでいく文字列に、本気で山本は首を傾げた。弟妹同盟って何だろう、という疑問もだったが…『彼』というのが誰なのかが分からない。ヨコシマは『邪』で…良いのだと思うが。
ていうか何より、『彼を守りきること』って何だ。
その『彼』とやらはいつも危険にさらされているのだろうかと思っている間に、ぴっと手と手の中から引き抜かれる紙切れ。
え?と顔を上げると、そこにあったのは雲の守護者の不機嫌そうな顔だった。
「よ、雲雀じゃねーか」
「山本武、仕事の方はどうしたの」
「……えっとそれより、その紙切れってお前の?」
「話を逸らさないで。やってないんだね、仕事」
「…まーな。っていうか、今は休憩中」
ずっと机に向かわされるのは自分の得意とする所ではない。山本の得意分野はデスクワークではなく、思い切り体を動かすことなのである。だから適度に休憩も必要となる、ということだ。あまり根を詰めてやっても小さなミスばかりを連発して、最終的には色々と面倒なことになる事もある。
な?と人当たりの良い笑みを浮かべるとふい、と背けられる顔。山本自身に興味はない、ということだろうか。
しかし……こちらには興味はあるのだ。
「な、その紙ってお前の?」
「…正確には、僕とクロームの所有物だよ」
「へ?クローム…ってクローム髑髏?」
「その名前の人間が彼女以外にいないのなら、そうだと思うけど」
それがどうかしたの、と言わんばかりの表情に、山本は驚きを隠せないでいた。だって、あの幻術師を結構毛嫌いしている雲雀が、クロームと同じ物を所有しているなどというのは。それはつまり、彼女とつるむことがあると言うことである。
明日は空から石でも降ってくるんじゃないだろうかとさえ思える、これは完全なる非日常だった。マフィアどうこうがそもそも非日常ではないのか、と言われると何も言い返せないのが現状だが。
「…で、弟妹同盟って……兄とか姉とかいるってこと?」
「兄、だね。僕らが兄のようにしたっている彼、だよ」
「彼?」
「スクアーロ」
「…あぁ、成る程な」
そういえばだが、二人は良くヴァリアー本部に足を運んでいるらしかったし、何気にスクアーロと一緒にいる姿はしばしば見た。付け加えて言わせてもらうと、スクアーロにひっついてザンザスに敵意をむき出しにしている場面も何度か目撃したことがある。
などという記憶があったから、彼のその説明は非常に納得できる物だった。
そして、少し鎌首をもたげる疑問。
「じゃーさ、俺とかは同盟に入れるのか?」
「無理」
だから問えば、直ぐに否定が返ってきた。
きっぱり過ぎてかなり清々しい否定に苦笑していると、雲雀はちらりとこちらに視線を向けた。本当に、ちらりとだけだったが。
「君、何か『壱』に触れそうだから無理だよ」
そう言い残して彼は去っていった。
もちろん、手には例の紙を持って。
心得…「時と場合による」が多すぎる…気が…
でも、そんな物だと思うんです、相手があの鮫なので。