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CBに関わる前の沙慈、という感じで…。
07.印
首からかける金色の指輪。
それは証。
まだ繋がっているという証。
それは無ければならい物だった。
少なくとも自分にとってはなくてはならない物。無くなってしまうと、たちまちに不安になってしまうような、本当に大切な物。
証。
目に見える、証だ。
繋がっていると信じていても、そばにいなければ不安は募る。高まる。広がって、大丈夫だと願う心を覆い尽くす。
それは嫌だったから。
形に見える物が、そこに欲しかった。
目に見える証はそこにあるだけで、見るだけで安堵をもたらした。
それを、享受することで不安は消えていった。
まだ大丈夫だと。
まだ、大丈夫なのだと。
それは印だったのだ。
その証がまだ残っていると、そう思わせるための印。
証なんて本当は関係ない。そんな物があってもなくても繋がっているのなら繋がっていて、繋がっていないのなら繋がっていない。
そう思わせないための、形。
不安に思ったのは、その証を疑ったから。
安心を覚えたのは、その証を信じたから。
安心を感じるためには証が必要だっただけの話。
その安心のために、全てをその指輪へと。
これはもろく崩れる物なのだろうか?
あっという間に、消えてしまうだろうか?
そんなことをさせてはやらないと、思う。
思って、ただ指輪を握りしめる。
仮にこの指輪が仮初めの証だとしても、だったら何だというのだろう。
これは自分にとっての『本物』だ。
なら、それを信じていればいい。
それに仮初めだろうと、きっと。
きっといつかは本物になる。
してみせる。
これは、そんな証で、そんな印。
とりあえず、あの指輪は大切な物だったろうな、と。
それが言いたいだけの話でした…。