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正直に白状しましょう。
お題は殆ど関係ないです、この話。
07.茎
「そういえば、ティエリアって結局どんな状況なのかしら?」
『…どう、とは?』
「だから、今までみたいに体を持つことは出来るのかって話よ」
『そうは言われても』
眠っていたところを何やら色々とハッキングやらを駆使されて起こされたティエリアは、通信機の画面の中で目を擦りながら口を開いた。
『その体自体がないのだからどうしようもないと思いますが。まぁ、有ろうと無かろうと試す気はありません』
「良いじゃない。たまには私たちに付き合ってもらわないと」
『…』
そんな理由で、ヴェーダに同化して平和な一時を贈っている自分を引きずり出そうとしているのか、この戦術予報士は。初めからそんなことだろうとは分かっていたのだけれど、実際に目の当たりにすると……特に何も感じなかった。免疫は、どうやらしっかりと付いているらしい。
肩をすくめつつ、それよりも、ティエリアには非常に気になることがあった。
スメラギの後ろの方に視線を送りつつ、見間違いではないかと確認して、確認できてしまったが故のため息を吐く。
「あらぁ?どうかしたの、ティエリア」
『一つ訊きたいんですが』
「何?」
『貴方の後ろのメンバーは何をやっているんですか』
「えーっと、色々?」
『その色々を教えてください』
ティエリアが見る限りでは、刹那とアレルヤとミレイナとがスケッチブック相手に何やら考え込んでいて、フェルトが真剣な顔で何やら調べ上げているようなのだけれど。しかも、ふと意識を向けてみればフェルトがアクセスしているのはヴェーダの方だと言うことも分かってしまって。
思わずアクセス拒否をしてしまった自分に非はない。
それでも、エラーが出た画面を見た刹那に咎めるような視線を送られてしまった。そうか、刹那、君はそちら側の人間か……心の中で呟きながら、味方はこの場にいないメンバーなのだろうかと思う。最も、全員が全員というわけでもないのだろうが、少なくともラッセくらいは味方してくれそうだ。
「フェルトにはイノベイドの体の作り方を調べてもらっていたのよ」
『そこまでやる気なんですね…』
「刹那たちにはデザインを」
『…デザイン?』
何だそれは、と視線を彼ら三人に送ると、アレルヤ楽章を浮かべて答えた。
「えっとね、今までと同じが意見じゃティエリアが飽きるんじゃないかって…」
それから、つい、と視線を逸らして、ぽつんと。
「……ハレルヤが」
聞き取りにくいほどの小さい声。恐らく片割れがその様なことを言い出したと、自分には知られたくなかったのだろう。だが、生憎と彼の声を聞き逃すほど音声収集能力に支障が出ているわけでもない。問題はない。
ため息は出たが。
『あの不良はそんなに僕に嫌がらせをしたいのか?』
「嫌がらせって言うか…ティエリアが困った顔するのが楽しいんじゃないかと…」
『それを嫌がらせと一般では呼ぶ』
「だよね…」
「ハプティズムさん!」
と、ミレイナがビシッとアレルヤを指さした。
「手が止まってるですぅ!さぁ、頑張ってアーデさんの次の体をデザインするんです!」
「…いや、けど本当にアイディアとか出ないんだけど」
「大丈夫です!人間は考える茎と言いますし、考えていれば何とかなるんです!」
「ミレイナ、それは茎じゃなくて芦じゃなかった?」
「えぇ?そうなんですか?」
「しかもあまり現状とは関係ないと思うけれど…」
フェルトの脱力気味の言葉に、ミレイナはキョトンとした表情を浮かべた、刹那は呆れ気味の表情、アレルヤは変わらない苦笑だ。
画面の向こうの、変わらない世界。
「ちょっと戻って来たくなったでしょう?」
視線の先に気付いたのか、スメラギが穏やかに笑った。
見透かされたような気がして少々悔しく思った。けれど、だからといって本心を偽る必要もない。
ティエリアも、静かに笑みを浮かべた。
『そうかも、しれないな』
多分、ハレだけでなくてライルも提案してる。
それを知ったときのティエリアが怖いです。