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この二人の話も書きたかったので。でも、何か何て言うか。
038:いとこ(変換自由)
確か、かつて自分にも『従兄弟』と呼べる人間がいた。もちろん今もいるのだが、その数は子供の頃と比べてかなり減っていることだろう。
理由など、考えるまでもなく決まり切っている。
この血筋故だ。
血がなければと言う者も、血があればと言う者もいる。そのどちらも自分の身近におり、自分はそれらがあるのだとよくよく知っている。あるいは、知らざるを得ないと言うべきなのか。どちらにしろ、知っていることに変わりはない。
考えてみると、息子の『従兄弟』、も随分と減った気がする。いなくなったのは候補者だった何名かだったとはいえ、それに巻き込まれて何人もが途絶えていったのは間違いないだろう。それは悲しいことに、この世界では実に当たり前のことなのだ。
「これも『業』というべき物なのか……」
「九代目?」
どうかなされたのですか、と傍にいた家光が声をかけてくれたが、何でもないよと首を振って見せた。この程度のこと、本当に何でもないことだ。
ただ、ふと、思いを零す。
「家光」
「何でしょう」
「次を担う子供たちは、我々と同じ業を繰り返すのだろうか…?」
それだけで自分が今まで何を思っていたのかを察したらしい門外顧問は、静かに、笑みを浮かべて口を開いた。
「心配するまでも無いでしょう、それは」
「そうかな?」
「間違いなく」
それは確かに物騒すぎるケンカくらいはするでしょうが、それでも問題など起こすことも無いでしょう。なかなかどうして、綺麗にピースは当てはまっていますから。
心の底からそう思っている様子の家光の言葉に、黙って目を閉じて、頷いた。
「そうだね。私はもう少し彼らを信じるべきかもしれない」
正確には信じると言うより、任せることに安心を持つ、なのだが。
どちらでも同じか、と少し笑みを作った。
この人もやっぱりマフィアなので、色々と苦労はあったかと…。