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何気に赤のお題ももう少しでクリアですね、これ。
あぁ…やっぱ、何気にトリニティも気に入ってたんだなぁ…。
16.BGM
「あの……ヨハンさん…」
「あぁ、紅茶のおかわりか?」
「いえ、そうでなくて…」
「では菓子か?…いや、まだ残っているな」
「…あぁはい、それとも違います」
「では?」
「……止めなくて良いんですか?」
ちらり、と向けられた視線にあぁ…とヨハンはようやく合点がいった。
成る程。だが、さほど心配するような事柄でもない。
薄く笑って、問題ないよと首を振って見せた。
「あの二人は元気が良いから、たまに衝突したりしているんだ」
「元気が良いって…そういう話なんでしょうか…?」
「違うのか?」
「…えっと、そう言われましても…」
問いかけると、とても困ったようにアレルヤは笑んだ。何と言葉を返したらいいのかが分からないのだろう、きっと。彼の中では。これが普通なのだろうかと検討する会議でも開かれているかもしれない。
が、恐らくこれは普通の光景だ。
何せ、たんなる兄妹ケンカなのだし。
紅茶をカップに注ぎながら、苦笑しながらヨハンは口を開いた。
「ガンダムや銃器が出てこないだけまだ可愛いと思うのは私だけかな?」
「うわぁ…それってまるで刹那とティエリアのケンカみた……じゃなくて…でも、ミハエルってネーナのこと大好きでしたよね?なのにケンカですか?」
「大好きだからこそ争う、ということもあるんだよ」
「…えっと?」
「買い物の時は必ず一緒に連れて行け、といった風な、な」
「そういうことですか…ネーナ嫌がりそうだなぁ…」
「基本的に自由人だからな」
その辺り、ちゃんとミハエルは理解しているのだろうか。確率としては半々、怪しいところだとヨハンは思っているのだが。
それよりも、と二人のケンカの声を聞き流しながらアレルヤを見る。
「菓子の方のは味はどうかな?」
「あ……とっても美味しいです。市販のみたいですけど?」
「ネーナが見つけてきた穴場があってな…場所を教えようか?」
「お願いします。みんなにも買っていってあげたいし」
「あの店の菓子は割と甘いんだが…食べるのか?」
「そうですね…」
アレルヤは少し考え込むような素振りを見せた。既にミハエルとネーナの作り出している喧噪に対しての注意は消え失せているようだった。
「…刹那とティエリアが危ないかな?あとはみんな普通だと思うんですけど…どうだろう。全員の好みを知っているわけでもないから何とも」
「とりあえず刹那とティエリアか」
「はい。あの二人には、甘さ控えめの物が良いと思うんです」
もっとも、と付け加えるように彼は言った。
「刹那はティエリアよりは甘い物が好きらしくて、渡したらとりあえず食べてはくれますよ。感想はどうあれ」
「ほう…」
「食べ物を粗末にする方が問題らしくって」
刹那らしいですよね、と楽しげに問いかけられ、ヨハンも笑うことで返事として返した。確かに『らしい』気がするが、それを断じるほど親しいわけでもない。
「君の片割れなんてどうなんだ?」
「ハレルヤですか?…微妙だなぁ…ここも。それほど嫌ってはいないようですけど、好きではないような気がします」
「では、君は?」
「大好きですよ?」
キョトンと答える彼に、ほんの少し苦笑混じりの表情を送る。
予想通り過ぎて逆に反応できない、というのもあるのだと学んだ気分だった。
「…まぁ、大丈夫だろう」
「何か不安なんですけど…」
「残ったら君が食べると良い」
「やっぱりそういう結論なんですか?」
「それしかないだろうと思うんだがな」
…そんな会話をしている最中も、『BGM』が絶えることがなかったことに関しては、果たしてどうするべきなのだろうか。
BGMに関してはどうしようもないに一票です。