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果たして子供扱いはいつまでだろうか。
049:お酒
それを見た瞬間に、京子が取るべき行動はただ一つだった。
「お酒なんてダメだよ。まだ子供なんだから」
「堅ぇ事言うな」
「堅くないよ。これが普通だと思うな」
ひょい、とリボーンが持っていたグラスや酒のボトルを取り上げて、とりあえず手が届きそうにない場所に置く。彼が何と言おうと、とにかく酒はダメなのである。
代わりにと、空のグラスにジュースを注いでやる。不満そうな視線も軽く受け流す。そんな表情をされても、子供に酒を飲ませるわけにはいかない。色々と特殊な事情があろうと無かろうと、だ。
ジュースに合いそうな菓子は置いていないだろうかと辺りを見渡していると、ふいにリボーンが口を開いた。
「京子、物事には柔軟な姿勢で当たるべきだぞ?」
「確かにそれは大切だとは思うけれど……それはそれ、だと思う」
「いや、そんなことはねぇぞ」
「あるってば」
どうやら自分を説得に掛かるつもりらしいリボーンに笑みを浮かべながらも、発見したマフィンをとんとテーブルの上に置いて、ツマミはすっと取り上げた。ジュースにはツマミではなくて菓子の方が似合っている。
ここまで来ると流石に観念したのか、リボーンは少し残念そうな表情でジュースの入ったグラスを傾け、マフィンに手を伸ばした。女性に対してはちゃんと引くことを知っている彼は、引き際や押すべき場所を間違えない。本当に、凄いなぁと心の底から感心してしまうほどに。
「じゃあ、私はそろそろ行くね?」
「そうか。なら」
と、リボーンが視線を止めたのは京子の腕の中にある物。
「その手に持ってる物は置いていってくれねぇか」
「ダメ」
両手で酒飲みセットを抱えて、京子は微笑んだ。
「子供はお酒を飲んじゃいけないんだよ?」
リボーンは気にしないと思うけれど。