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修理されたアリオスの中に、あるべきなのだが入れるのが後回しになったために入らなかった彼らの動力源…いわゆる『太陽炉』と称される球体は、何だかんだで結局アリオスの中に入った。入れ方の方は……あまり何度も口にしたいとは思えないような方法だった、とだけ言うべきなのだろう、これは。
先ほどの光景を思い出して、アレルヤはブルッと小さく一回身震いをした。
ドリルを片手にアリオスを追いかけるミレイナのことは、もう思い出したくない。
あれは……軽くトラウマになる。
現に、ハレルヤだって微妙にミレイナを見るときの表情が引きつっているし、キュリオスに至ってはアリオスの後ろからこそこそと見ることしか出来ないようだ。今回の被害者はそれどころでなく、修理が終わった胸部分の具合を確かめている様子である。が…落ち着いたときの反応が気になるというか。
かくいう自分も、ちょっとだけミレイナから距離を取っているのだが。
……だって、あんな笑顔で追い回してる姿を見てしまえば。
「誰だって…ねぇ」
「どうかしたですか?」
「ううん、何でもないよ、ミレイナ」
「ですぅ?」
曖昧に笑んで答えてやると、どこか不満そうに彼女は首を傾けた。何でもない、というのが嘘であることくらい、彼女にだって容易に理解できたのだろう。これだけあからさまなら、と何だか分かる気もする。
けれども、自分たちの反応も分かって欲しい。何せ…あんなの、とすると言い方は悪いだろうが…ともかくアレ見てしまえば、嫌でも誰でもこうなる気がする。
「それよりも…アリオスには後遺症とかは?」
「あぁ、それは大丈夫ですぅ」
「簡単に言うじゃねぇか」
「ハプティズムその2さん、お言葉ですが、ミレイナはこれでもプロなのです」
「プロ?」
「はいです。ちゃんとパパにも認められたのですよ?」
だから大丈夫なのです!と胸を張って断言するミレイナに、アレルヤは苦笑を浮かべて一言、そう、と答えるだけに止めた。それ以上言うのは何というか…その…ボロが出そうな気がしたので。それは本意ではないのである。
というか、イアンは果たしてミレイナの『普通』の定義について、知って尚『プロ』として認めたのだろうか…だとしたら、彼にとってもそれは普通…?
……考えないようにしよう。
「…ね」
「何です?」
「あのね……アリオスに、変な機能とか付いてない…よね?」
「変な?」
「あの…手が、刃物になったりとか何とか…」
「はぁ!?俺の手が!?何でそーなる!?」
「あぁ、それは大丈夫です。何もやってませんから」
さらりと普通に(いや、こちらが普通なのだが。普通なのは分かっているのだが何か……)言葉を返して、ミレイナはくぅっと伸びをした。それを、安堵した様子のキュリオスと、どこか焦っているようなアリオスが眺める。
「しかし……何とも暇ですぅ…」
「暇って言うか、単調って言うか、ね」
「果てがねぇんだから仕方ねぇだろ」
ハレルヤの言うとおりだった。自分たちには何も出来ない。どうしようもないのである。
どうにか出来たら、それが一番良いのだけれど。
そう思って、ふと頭に浮かんだのは都の方の事。
皆は、どうしているだろう。