式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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ウイングがとてつもなく頑張って修理されてたことに感動を覚えました、実は。
「久しいな、ウイング、ヘビーアームズ」
「…あぁ」
「……」
生返事のウイングと、相変わらずの寡黙さで頭を下げるヘビーアームズとを、トールギスは苦笑を浮かべて見た。前回の分かれ方が分かれ方だったので……様子がとても気がかりだったのだが、どうやらそれは杞憂だったらしい。少なくとも今の様子を見れば、何かがあったのだとしても乗り越えてきた、今は大丈夫なのだということが分かる。
それで十分だと、呆然とウイングが眺めている物を見上げて口を開く。
「そんなに驚くことか?」
「……これに驚くなと言われて、他に何を驚けと言う」
「そうか?自分の本体だろう、修理されつつあるのは知っていたのではないのか?」
「知ってはいた。だが……予想以上だ」
自分たちの目の前にあるのは、修理されたウイングの本体。隣には運び込まれたヘビーアームズの本体もある。自分の本体は、もっと別の場所にある。
彼の本体を完全に修理する事は、確かに普通にやっては出来ることではないだろう。けれどもその無茶を、ゼクスはトールギスの完全なコンディションと引き替えに可能とした。お陰で本体の左腕の動きは鈍く、精神体でも少ししびれが走っているのだが。
このくらいは構わないだろうと、薄く笑いながら自分たちの本体を見上げている二人の後輩を、殆ど弟のような感じのしている同類を眺めながら思う。このくらいの我が儘は、聞き遂げられても良いに違いない。
ただし、このことはウイング達には知られるべきではない。ただ単に『修理が成された』という事実だけを知っていればいいのだ。自分の左手について、感づかせるわけにはいかなかった。それは、トールギス自信もゼクスの我が儘に付き合おうと思っているから、ただそれだけの理由からの判断だ。
ゼクスとヒイロは戦うだろう。そこに、戦わない理由はないために。
ならば、せめて最高の舞台を整えるべきなのではないだろうか。
「…腕の修理はどうしたんだ?あの辺りはかなり面倒なことになっていたはずだが」
「OZにも優秀な者がいると、お前たちも知っただろう」
「技術者がどうにかしたのか?…にしても完全すぎるような気がするんだが。お前の技術を応用できるとはいえ…」
「どうやってやったのか、などとは訊くなよ?私が修理について全てを知っていると思っているのならそれは間違い、だからな」
「……そのくらいは分かっている」
ふい、と視線を逸らしたウイングに、これは少しくらいは思っていたのだと容易に推測することが出来て、本当に変わらないと息を吐いた。
隠そうとすればいくらでも本心を隠せる、そういう時には何を考えているか昔から分かりにくかった相手の視線が向けられているのは気付いているのだが、だからといってどうとすることも出来ない。知りたがっているヘビーアームズには悪いが、ここは黙秘権を使用させてもらう。
いや、黙秘というよりは転換か。
「そういえば、お前のパイロットは結局どちらを使うことにしたんだ?」
「ヘビーアームズの方、らしい。そちらの方が存分に戦えると」
「…そうか」
その『存分に戦える』が誰に掛かっているかは、何となく理解できた。
だからあえて何も言わないことにして、トールギスは口を閉ざした。これ以上、話すことは特にないように思える。あの、コロニーを盾に取る行為から時間が流れ、その間に彼らが何をしていたかは知らないが、それを詮索する必要もないだろう。
今、二人がこうして変わらないままにここにいる。
それで、答えとしては十分だ。
「……」
「…どうかしたか?」
そんな時にヘビーアームズから問いかけたそうな視線を送られて、トールギスは彼の方を向いた。何を訊きたいのかと目で尋ねると、彼は少しだけ躊躇した様子で考え込んだ。何か、大切なことを訊きたいらしい。
先ほどの、左腕の件とは関係がなさそうだと判断して、ならば答えられるかもしれないと辛抱強く待つと、ポツリと言葉が零された。
「…連絡、は」
「連絡?……あぁ」
誰からの物かと、考えれば直ぐに分かった。
彼の、彼らの、仲間たちからの、連絡。
ということは彼らの方にも連絡は行っていないのだろうと判断して、しかしトールギスは首を横に振った。期待を裏切って悪いのだが、連絡という物は全く来ていない。同時に、こちらからも全くしていない。
「すまないな」
「…」
気にしないでという目で見られて、曖昧に微笑んで返す。
二人も、連絡はしていないのだろう。それはきっと、今、連絡をしたら邪魔になるかもしれないという、あの件の及ぼした影響に違いなかった。
そして修理に関してはウイングも驚いてると良いと思う。
「…あぁ」
「……」
生返事のウイングと、相変わらずの寡黙さで頭を下げるヘビーアームズとを、トールギスは苦笑を浮かべて見た。前回の分かれ方が分かれ方だったので……様子がとても気がかりだったのだが、どうやらそれは杞憂だったらしい。少なくとも今の様子を見れば、何かがあったのだとしても乗り越えてきた、今は大丈夫なのだということが分かる。
それで十分だと、呆然とウイングが眺めている物を見上げて口を開く。
「そんなに驚くことか?」
「……これに驚くなと言われて、他に何を驚けと言う」
「そうか?自分の本体だろう、修理されつつあるのは知っていたのではないのか?」
「知ってはいた。だが……予想以上だ」
自分たちの目の前にあるのは、修理されたウイングの本体。隣には運び込まれたヘビーアームズの本体もある。自分の本体は、もっと別の場所にある。
彼の本体を完全に修理する事は、確かに普通にやっては出来ることではないだろう。けれどもその無茶を、ゼクスはトールギスの完全なコンディションと引き替えに可能とした。お陰で本体の左腕の動きは鈍く、精神体でも少ししびれが走っているのだが。
このくらいは構わないだろうと、薄く笑いながら自分たちの本体を見上げている二人の後輩を、殆ど弟のような感じのしている同類を眺めながら思う。このくらいの我が儘は、聞き遂げられても良いに違いない。
ただし、このことはウイング達には知られるべきではない。ただ単に『修理が成された』という事実だけを知っていればいいのだ。自分の左手について、感づかせるわけにはいかなかった。それは、トールギス自信もゼクスの我が儘に付き合おうと思っているから、ただそれだけの理由からの判断だ。
ゼクスとヒイロは戦うだろう。そこに、戦わない理由はないために。
ならば、せめて最高の舞台を整えるべきなのではないだろうか。
「…腕の修理はどうしたんだ?あの辺りはかなり面倒なことになっていたはずだが」
「OZにも優秀な者がいると、お前たちも知っただろう」
「技術者がどうにかしたのか?…にしても完全すぎるような気がするんだが。お前の技術を応用できるとはいえ…」
「どうやってやったのか、などとは訊くなよ?私が修理について全てを知っていると思っているのならそれは間違い、だからな」
「……そのくらいは分かっている」
ふい、と視線を逸らしたウイングに、これは少しくらいは思っていたのだと容易に推測することが出来て、本当に変わらないと息を吐いた。
隠そうとすればいくらでも本心を隠せる、そういう時には何を考えているか昔から分かりにくかった相手の視線が向けられているのは気付いているのだが、だからといってどうとすることも出来ない。知りたがっているヘビーアームズには悪いが、ここは黙秘権を使用させてもらう。
いや、黙秘というよりは転換か。
「そういえば、お前のパイロットは結局どちらを使うことにしたんだ?」
「ヘビーアームズの方、らしい。そちらの方が存分に戦えると」
「…そうか」
その『存分に戦える』が誰に掛かっているかは、何となく理解できた。
だからあえて何も言わないことにして、トールギスは口を閉ざした。これ以上、話すことは特にないように思える。あの、コロニーを盾に取る行為から時間が流れ、その間に彼らが何をしていたかは知らないが、それを詮索する必要もないだろう。
今、二人がこうして変わらないままにここにいる。
それで、答えとしては十分だ。
「……」
「…どうかしたか?」
そんな時にヘビーアームズから問いかけたそうな視線を送られて、トールギスは彼の方を向いた。何を訊きたいのかと目で尋ねると、彼は少しだけ躊躇した様子で考え込んだ。何か、大切なことを訊きたいらしい。
先ほどの、左腕の件とは関係がなさそうだと判断して、ならば答えられるかもしれないと辛抱強く待つと、ポツリと言葉が零された。
「…連絡、は」
「連絡?……あぁ」
誰からの物かと、考えれば直ぐに分かった。
彼の、彼らの、仲間たちからの、連絡。
ということは彼らの方にも連絡は行っていないのだろうと判断して、しかしトールギスは首を横に振った。期待を裏切って悪いのだが、連絡という物は全く来ていない。同時に、こちらからも全くしていない。
「すまないな」
「…」
気にしないでという目で見られて、曖昧に微笑んで返す。
二人も、連絡はしていないのだろう。それはきっと、今、連絡をしたら邪魔になるかもしれないという、あの件の及ぼした影響に違いなかった。
そして修理に関してはウイングも驚いてると良いと思う。
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