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何かなぁ…こじゅがにせものっぽい…んだよなぁ。ていうか、やっぱまだ精進足りないわ。
それはともかくと、雨シリーズ第何段目でしょう、そんな感じです。
「小十郎」
その呼び声に。
ふっと、小十郎は顔を上げた。
それから、探すまでもなく見つける一つの人影。
「政宗様」
「ちょっくら休憩しねぇ?団子持ってきたからよ」
「そうですな…では、そうしましょうか」
世話をしていたキュウリの元から離れ、小十郎は畑の外にいる政宗の元へと向かった。
歩きながら思うのは、少しばかりの意外性。
今日は、政宗の母がこちらに来ている。そうなれば刺さる言葉が主君に向けられることとなるのは、有る意味で自然な流れだ。実に口惜しいことに、だが。
したがって、酷く落ち込んでいるかと思ったのだが。
…いつもよりは、その度合いが低い気がする。
「なぁ、小十郎」
内心で首を傾げながらも政宗の所に辿り着くと、主君は、どこか深刻そうに、しかしまぁそれが義姫に関することではないのが深刻さの種類によって分かったのだけれど、とにかく、そんな表情で口を開いた。
「俺は、分かりやすいか?」
「……は?」
「何だか知らねぇが、やけにどいつもこいつも同じ事を言う」
腕を組み、緑の上に腰を下ろして政宗は唸った。
「風来坊は俺が悲しそうだとか言いやがるし、真田幸村は突然泣き出すし、あんの忍に至っては妙に気遣いになってねぇような気遣いしてきやがるし」
ワケがわからねぇ、と。
そう続ける主君の隣に腰掛けて、小十郎は今名前の挙がった三名のことを思う。
成る程、彼らが先に色々とやったのか。
しょっちゅうこっちに来ては遊んでいって、国政中であろうと何だろうと関係なく上がって行くような連中だったりして、たまには本気で切り刻んで海か川かに沈めようかとも考えるヤツらではあるが、観察眼は中々の物だったということかもしれない。
今回ばかりは彼らに多少なりとも感謝をすることにでもしよう。
「つーか悪いな小十郎。畑の方に追い出しちまって」
「全くです。今日は出来る限りお側におりたいと考えていたというのに」
「お前まで付き合う義務はねぇからな。それに、母上直々の願いだ。聞かねぇわかけにはいかないだろ」
「…まぁ、それはそうですが」
以前からの経験で、その辺りは既に予想済みだ。
主君は政宗だが、その母にも家臣であるこの立場からしてみると逆らうことは難しい。最も、優先されるのは政宗なのだが。だが、政宗は相手が母になると滅多なことが起こらない限りは強くは言い出せない傾向にある。
そして、そんな義姫が自分を追い出す理由というのは、その方がより政宗を攻撃しやすいからなのだろというのは考えるに堅くないこと。
本当に、この身の力なきが恨めしい。
「政宗様、」
「ん?」
「今の御気分は」
「そうだな…まぁまぁ、ってとこか?」
「最悪ではないだけよろしい、ということでしょうか」
「近いかもな」
そう言って、政宗は苦笑を浮かべた。
義姫が来るたびに酷く辛そうな表情をしていた政宗が、こうやって苦笑でも浮かべているというのは決して悪い状況ではない。やはり、あの何かをしたらしい三名には感謝でもしておこう。
「さてと、俺は城下にでも行ってくる。外出たついでだ、ついで」
「さようですか。いつ頃お戻りに?」
「日暮れくらいか?ま、適当に帰る」
その『適当』というのは、義姫が帰った後のことだろう。
「てなわけだ、小十郎、城に戻っても良いぜ」
「いえ。もう少し畑を手入れしておきたいので」
「キュウリだったか?」
「他にも大根やネギ、ゴボウも見ておこうかと」
「そうか。そりゃ楽しみだな」
立ち上がって、主君は笑った。
その笑みにもの悲しさを覚え。
「…貴方は」
そのまま行こうとする政宗の、その背に声を投げかける。
そうして振り返った主に、ただ一言。
「お泣きには、ならないのですか」
「…泣かねぇよ。涙は綺麗に凍っちまったからな」
それは泣かないのではなく、泣けないというのだと。
言ったところで何も変わりはしないのだと、もう、知っている。
こじゅがいるといないでは、色々違うだろうなぁとかね。
その呼び声に。
ふっと、小十郎は顔を上げた。
それから、探すまでもなく見つける一つの人影。
「政宗様」
「ちょっくら休憩しねぇ?団子持ってきたからよ」
「そうですな…では、そうしましょうか」
世話をしていたキュウリの元から離れ、小十郎は畑の外にいる政宗の元へと向かった。
歩きながら思うのは、少しばかりの意外性。
今日は、政宗の母がこちらに来ている。そうなれば刺さる言葉が主君に向けられることとなるのは、有る意味で自然な流れだ。実に口惜しいことに、だが。
したがって、酷く落ち込んでいるかと思ったのだが。
…いつもよりは、その度合いが低い気がする。
「なぁ、小十郎」
内心で首を傾げながらも政宗の所に辿り着くと、主君は、どこか深刻そうに、しかしまぁそれが義姫に関することではないのが深刻さの種類によって分かったのだけれど、とにかく、そんな表情で口を開いた。
「俺は、分かりやすいか?」
「……は?」
「何だか知らねぇが、やけにどいつもこいつも同じ事を言う」
腕を組み、緑の上に腰を下ろして政宗は唸った。
「風来坊は俺が悲しそうだとか言いやがるし、真田幸村は突然泣き出すし、あんの忍に至っては妙に気遣いになってねぇような気遣いしてきやがるし」
ワケがわからねぇ、と。
そう続ける主君の隣に腰掛けて、小十郎は今名前の挙がった三名のことを思う。
成る程、彼らが先に色々とやったのか。
しょっちゅうこっちに来ては遊んでいって、国政中であろうと何だろうと関係なく上がって行くような連中だったりして、たまには本気で切り刻んで海か川かに沈めようかとも考えるヤツらではあるが、観察眼は中々の物だったということかもしれない。
今回ばかりは彼らに多少なりとも感謝をすることにでもしよう。
「つーか悪いな小十郎。畑の方に追い出しちまって」
「全くです。今日は出来る限りお側におりたいと考えていたというのに」
「お前まで付き合う義務はねぇからな。それに、母上直々の願いだ。聞かねぇわかけにはいかないだろ」
「…まぁ、それはそうですが」
以前からの経験で、その辺りは既に予想済みだ。
主君は政宗だが、その母にも家臣であるこの立場からしてみると逆らうことは難しい。最も、優先されるのは政宗なのだが。だが、政宗は相手が母になると滅多なことが起こらない限りは強くは言い出せない傾向にある。
そして、そんな義姫が自分を追い出す理由というのは、その方がより政宗を攻撃しやすいからなのだろというのは考えるに堅くないこと。
本当に、この身の力なきが恨めしい。
「政宗様、」
「ん?」
「今の御気分は」
「そうだな…まぁまぁ、ってとこか?」
「最悪ではないだけよろしい、ということでしょうか」
「近いかもな」
そう言って、政宗は苦笑を浮かべた。
義姫が来るたびに酷く辛そうな表情をしていた政宗が、こうやって苦笑でも浮かべているというのは決して悪い状況ではない。やはり、あの何かをしたらしい三名には感謝でもしておこう。
「さてと、俺は城下にでも行ってくる。外出たついでだ、ついで」
「さようですか。いつ頃お戻りに?」
「日暮れくらいか?ま、適当に帰る」
その『適当』というのは、義姫が帰った後のことだろう。
「てなわけだ、小十郎、城に戻っても良いぜ」
「いえ。もう少し畑を手入れしておきたいので」
「キュウリだったか?」
「他にも大根やネギ、ゴボウも見ておこうかと」
「そうか。そりゃ楽しみだな」
立ち上がって、主君は笑った。
その笑みにもの悲しさを覚え。
「…貴方は」
そのまま行こうとする政宗の、その背に声を投げかける。
そうして振り返った主に、ただ一言。
「お泣きには、ならないのですか」
「…泣かねぇよ。涙は綺麗に凍っちまったからな」
それは泣かないのではなく、泣けないというのだと。
言ったところで何も変わりはしないのだと、もう、知っている。
こじゅがいるといないでは、色々違うだろうなぁとかね。
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