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いつのまにか四日目突入。
みんな頑張れー、な四日目です。
36:クーラー
「暑……」
「同感だな…だがどうしていきなり日付が変わっているんだ?」
「そこはあれ、ご都合展開だから突っ込んじゃ負け」
「そういうものか…」
擬人化騒動の四日目。
事態は好転するわけでもなく、付け加えるともう一生このままでもさほど問題はないんじゃないだろうかとコロニーの住人全員が思いだしている、そんな日。
理由は不明だが、かつて無い猛暑に襲われていた。
ワケが分からないと、水の入ったコップを手に持ってウイングは呻く。昨日まではほど良い気温だったはずなのに、この変わり様は一体何だというのか。これもご都合展開の一つであることくらいは理解しているのだが。
隣ではデスサイズが、うちわでパタパタと風を送っている所だ。
お互いに服装はジーパンに袖無しのシャツ。着ていた服は汗をかきすぎるために不要の産物となってしまった。だから、とりあえず部屋にいる五人全員が同じ格好である。
「あー…暑…」
「…お前は髪を括ったらどうだ。見ていてそれが暑そうだ」
「…自分じゃ無理…」
グッタリとソファーに身を沈めているデスサイズには、どうやらこの暑さは酷く応えているらしい。まぁ、その気持ちは分からなくもない。実際自分もそんな感じだ。
汗で顔や腕に張り付いている彼の黒い長髪を手ですくい取り、キョトンとしている彼へと紐か何かを寄越せと口にする。
「…紐?」
「括ってやる。上手く出来るかは保証しない」
「保証とか別に良い…やってくれるならそれだけで感謝するから…」
そう言われてポイと投げ渡されたゴム数個と紐数本を受け取り、本格的に髪をどうにかするべく行動を開始した。途中でふと、こんな物が用意してあると言うことは自分でも頑張ってはみたのかもしれないと思う。様子からして挫折したようだが。
まぁ、そんな感じで結果。
「…まぁまぁか」
「どんなになったんだよ。鏡は?」
「そんな物が用意してあるわけが…」
「…」
無いだろうが。そう言おうとしたところで、ひょい、と横から差し出された鏡に一瞬だけ言葉を詰まらせた。突然、一体何だコレは。そう思ったが、それが誰によるものかは直ぐに分かった。顔を横に向ければ分かるのだから当たり前なのだが。
「何でお前が鏡を持っているんだ」
「そーそ。タイミング良すぎない?」
「二人を呼びに来ようとしたら、ちょっと会話が聞こえたから」
要るんじゃないかと思ってね。そう言ってサンドロックは笑い、鏡をデスサイズに渡した。彼が持ってきたのは丁度良さそうなコンパクトサイズの鏡だった。
受け取って自分の頭の様子を見た張本人は、そして…絶句した。
それは当然だろうと思う。自分でもどうして、と思わなくはないのだから。
呆然と、デスサイズがこちらに視線を向ける。
「おま…何でこんなに上手にやってんの」
「出来たんだから仕方ないだろう」
「けど、良いなぁ…それ。僕も今度触らせてね。あ、それでね」
「ん?あ、そういや用事?」
「うん。ナタクが倒れた」
その言葉は、理解するのに数秒もかからなかった。いつか絶対起こると思っていたから。
同じように思ったらしいデスサイズも、呆れたような表情をしていた。
「そりゃ、クーラーぶっ壊れた部屋の中で修行とか言って閉じこもってたら当然」
「だよねぇ…で、ちょっと様子を確認してもらおうかと」
どう?と問われて行かないという選択肢はこの場合、無い。
サンドロックの後について件の部屋に向かうと、その出入り口辺りにいたヘビーアームズが黙って開いている扉の中を指さす。
そうして、中に入って、部屋の中央で仰向けに倒れているナタクを見て。
…見て、デスサイズはその腹を思い切り踏みつけた。
「…デスサイズ!?」
「……何か苛つく、どうしてだか苛つく」
「ちょ…どうしたの…!?」
慌ててサンドロックがデスサイズの肩を掴むと、彼はフラリとこちらへ顔を向けた。
「だって納得できない…何でどうしてコイツはちゃんと肩幅あって体つきもしっかりしてんのにオレはひょろっこいんだよ!差別だろ、絶対差別だろこれ!」
その言葉に思わずサンドロックと顔を見合わせ、ウイングは改めてデスサイズを見やって口を開いた。
「これも運命だと思って諦めた方が良いぞ」
「そうだよ。ほら、ボクとヘビーアームズもデスサイズと似たような物だし」
「…お前ら慰めにも何にもなってないからそれ」
…ごめんね…設定をこう定めてしまった事を許してください…。