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やっぱり、ラルのことはもっと色々と書いてみたい…。
052:緊張
そこは、未だに敵地だった。
いや……未だに、というのは間違いだろう。未だに、ではなくて自分たちがしくじれば、この後もずっとこのままである、この場所だから。だからといって、何と形容するべきかは分からないのだが。
ともかく、ここは敵地だ。
だからこそ、自分は誰よりも速く彼に会わなければならない。
沢田家光に。
「ったく……あのバカどこにいやがるんだ」
「ラル、親方様をそういう風に呼ぶのは……」
「事実なんだ、別に良いだろ」
オレガノにそう言って返して、ラルは持っていたライフルを再び持ち直した。
ここは、ボンゴレ本部だった。
つい先日までは本拠地として、守るべき場所だったここ。
しかし今ではどうだろう。昔、仲間と呼んでいた彼らは今や敵となって自分たちに刃を、銃口を向けてくる。何の躊躇いもなく、だ。
それに対して思うところがないでもないが、こんな世界だ、そういうことも有り得ない……とは限らない。穏健派のボスだろうと、その下に付いている人間が同じように考えていると断定できないからだ。そんな裏切りが当たり前の世界で、自分たちは生きているのである。この程度の事、対応できなくてどうした、という程度のこと。
それが、今回は少しばかり規模が大きいだけのことだ。
「とりあえず、緊張だけは緩めるなよ、オレガノ」
「分かっているわ、ラル。私はまだ死ぬ気はないもの」
「……その意気だな」
「貴方こそヘマをしてはダメよ?」
「俺を誰だと思っているんだ?」
なり損ないとはいえども、アルコバレーノに選ばれかけた人間だ。
ふっと笑ってみせて、ラルは、ライフルを手に角を飛び出した。
オレガノが出せて嬉しいです。他の門外顧問チームのメンバー、もしかしたら数名出せないかもですが…。