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フルカラーの月組二名です。オマケマンガでとっても仲良しでしたよね、あの二人。
38:コンビニ
コンビニというのは、中々手強い相手だ。色々な種類のパンを売っているし、焼きたてという長所がないにしろ、価格という点を見ても結構なものであって。その上、コンビニという店の特徴もまた、敵を強大にする事へと一役買っていた。
しかし、自分はそんなコンビニのパンに打ち勝たなければならないのである。今は贔屓にしてくれる客がいるけれど、多分これからも贔屓にしてくれるのだろうと思って感謝の気持ちに溢れたりするけれど、やはりそれで満足して止まってはいけないのである。これからも上を目指して行くべきなのだ。
そう言うことで今、ターンAはコンビニへと偵察に来ていた。
まず、コンビニで売っているパンの種類を調べてみる。その後に価格と量、パンの減り具合等々を確認する。ただし減り具合は元がどれ程あったのかが分からないため、あまり参考にはならない。それでも見るのは、有る程度は参考になってくれるから、だった。そうでなければ見ない。
こんなことをしている内にだって、色々な新しいパンのアイディアが出ることだって有るわけで、そう言うときは持っていたメモにそれを書いておくのだ。帰ってからじっくりと検証する。
そんなこんなでコンビニで時間を潰していると、知り合いだって来るわけで。
「お、ターンAじゃん」
「エックスさん。どうしたんです?」
「いやさぁ…暑いから涼みに。あとそれからアイス買いに来たんだって」
「暑…あ、そういえばそうでしたっけ」
今日は朝からずっとコンビニで調べ物をしていたから、全く気付かなかった。何だろう、結構ラッキーだったんだろうか。
何となくエックスの後について、アイスコーナーでアイスを見る。
「いやさー、何て言うかレオパルドだけじゃなくてエアマスターまでだれちゃって。辛うじて生き延びてたオレが代表で涼みに…もといアイス買いに来たワケ」
「へぇ…外はそんなことになってるんですねぇ」
「おうさ。出てみるかい?絶対にコンビニに戻りたくなるから」
「…じゃ、ちょっとやってみます」
くるんとアイスコーナーに背を向けて、コンビニの出入り口に向かって。
自動ドアが開いた瞬間、再び方向転換をしてアイスコーナーにダッシュで向かっていた。本当に短い距離だというのに、だ。
ぜーぜーといっていると、直ぐ側から、苦笑。
「なー?出たくなくなるだろ?」
「本当ですね……想像以上です」
「コンビニに住めたらいいのにな」
「ですねぇ。にしても、コンビニの冷房は壊れてないんですね。何ででしょうか」
民家?のクーラーは一つ残らず壊れきってしまっているはずなのだが。
ふと生じた疑問に首を傾げてみたのだが、エックスはそんなことは一つも気にしないらしい。まぁまぁ、なんて言って適当にアイスをポイポイとカゴの中に入れている。
「良いじゃんか、コンビニは無事だったんだって事で。幸運だったんだって思って感謝しとくほうが楽だぜ?」
「何となく釈然としないんですけど」
言いながら、少し考え込む。
それにしても参ったというか。これでは本気で帰ることが出来ない。帰ったら、新作パンを作ってみようかと思っていたのに。この暑さではそもそもパンさえ焼くことが出来ないに違いない。…今日は特別休業にするしかない、ような。
口惜しく思いながら、ふと、思いつくことが一つ。
「土の中は冷たいんでしょうか?」
「…………………………暑いんじゃないか?」
「けど、地下ってヒンヤリですよね。ていうことは、たくさん掘ったら底の方はどんどん冷たくなったりとかするんでしょうか?」
「……………………………………いや、やっぱり暑いと思うぜ?」
「埋めたらヒンヤリ出来ますか?」
「………………………………………………………………………絶対無理だろ」
「でも、試してみる価値はあると…」
「ないないないないないない!多分ないからそんなんで体力消費するなって、な!?」
「でも、」
「とりあえずそういう試しは止めようぜ?な?もし失敗したら色んな意味で埋められた人が死ぬからさ、な、な!?」
「…そこまで言うんなら」
何か知らないけれど必死な様子のエックスに思わず頷いて、うぅんと唸る。良いアイディアだと思ったのに、こんなに必死で止められるなんて。
ちょっと残念に思って、結局、ターンAはアイスをパン屋で待っているF91とビギナ・ギナの分も合わせて三つ、勝手からコンビニを出た。
ターンAといえば埋めること、ですけど今回の場合。
とてつもなく深いところまで掘ったら大丈夫かも知れないけど、その場合はでれなくなる上に埋められたら窒息するのでとりあえず無茶。浅いところだったら純粋に暑い上に窒息するので不可。