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04.路地裏
暗くて、あまり誰も通らない……そんな、建物と建物の間の小さな道には、良い思い出がこれっぽっちもなかった。
思い出すのは銃の重み、血を流して生きることを止めている人間だったモノ、背中を守り合っていた者の裏切り……そして、自分が背負うべき罪の重さ。
いつしか路地裏はロックオンにとって、できれば避けたい場所になっていた。
ミッション上の関係で、ホテルの同室に滞在しているパートナーから連絡が入った。
メールに書かれていた用件は、要約すると『応急手当の道具を持ってきて欲しい』というもので、どうやら……彼は、いざこざに巻き込まれてしまったらしい。
早急に準備をして連絡のあった場所へ向かう。
……そこは、人気のない細い裏道だった。
ほんの少しだけ、めまいを覚える。
どういう因果で、こんなところに。
そんなことを考えながら歩いていると、自分を呼び出した張本人を見つけた。と同時に彼も自分を見つけたらしく、顔をこちらへ向けてきた。
「あ、ロックオン……」
「アレルヤ……って、大丈夫か、おい!?」
「大丈夫ですよ。このくらい、どうってことないです」
壁にもたれかかって微笑む彼、だったが……腕から血を流している状況、といのは決して『大丈夫』の内には入らないだろう。
手当の道具がいるわけだ、と納得しながら、持っていた袋から消毒液を取り出す。
「一体、何がどうなったんだよ」
「よく、分からないんですけど……絡まれちゃいまして」
「それでこの状況か?」
包帯を巻きながら、周りの様子を見渡す。
そこには、ざっと十数名ほどのけが人が倒れていた。皆、手にナイフやスタンガンを持っていたりと……ガラが悪い連中だとは、容易に見当がついた。
ついつい、ため息を吐く。
「一人にこんだけの人数か?よくやるよな……」
「ですよね……」
「で、やったのはやっぱ、ハレルヤか?」
アレルヤの半身が、まさかこんなやつらを黙って見過ごすはずがない。彼が止めようと、ハレルヤならたこ殴りにくらいはするだろう。
だが、目の前の青年は首を横に振った。
「いえ、僕がやりました」
「……は?」
「だって、ハレルヤにやらせたら大変なことになりますよ?死傷者が出る確率がありますから。ことが大きくなりすぎます。でも、だからといって逃げれる状況でもなかったし」
言われてみればそうである。ハレルヤが出て、しかもアレルヤが絡まれていたら、間違いなく彼は手を抜かない。思う存分ボコ殴りにするだろう。たとえ、それで誰かが死んでしまったとしても。
「別に怪我をする予定はなかったんですけど……」
「いや、予定って……お前な」
苦笑する彼の言葉に、思わず呆れる。そういうものではないだろう、こういうことは。
「ま、大事が無くて良かったよ」
「あぁ、それもそうですよね」
手当を終えて、立ち上がったロックオンはアレルヤに手を差し出した。
キョトンとしているアレルヤに苦笑して、強引に手を掴んで引っ張り上げる。
「とっとと帰るぞ」
「あ……はい」
繋いだ手をそのままに、引っ張るように歩いていく。
…今度から、彼が外に出るときは一緒について行こうか。そのほうが安全な気がする。アレルヤのことも、ハレルヤのことも……彼のことも、その他の他人のことも全て、ひっくるめてしまって。
本気で画策している途中で、ふいにアレルヤが立ち止まった。
「どーした?」
「いえ……あの、ありがとうございました」
「……お前さ、真面目すぎ。このくらい、当たり前だろ」
「そういうものですか?」
「そういうもの、なんだよ。仲間なんだからな」
……まぁ、本当はそれだけじゃないんだけど。
そう心の中で呟き、視線を前に戻して、ロックオンは再び歩き出した。
もちろん、手は繋いだままで。
暗くて、あまり誰も通らない……そんな、建物と建物の間の小さな道には、良い思い出がこれっぽっちもなかった。
思い出すのは銃の重み、血を流して生きることを止めている人間だったモノ、背中を守り合っていた者の裏切り……そして、自分が背負うべき罪の重さ。
いつしか路地裏はロックオンにとって、できれば避けたい場所になっていた。
だけれど、ほんの少しだったけども暖かな思い出ができて、忌み嫌うだけの場所では無くなった。
繋いだ手は、ほんのりと温かかった。
みんなで叫びましょう。
GUDA★GUDA!
……ホント、グダグダでごめんなさい。