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イノベイターっていうかアロウズだけど。
にしても久々のお題更新でこれってどうなんだろう。
10.プラスマイナスゼロ
「う、ふ、ふ……いい加減に諦めたら、どう」
「お前こそ諦めろよ、な…っ」
ギギギ、とマンガだったら効果音が付くであろう光景を目にしながら、リヴァイヴが感じるのは呆れその程度の物だった。その程度、というが、それ以外にこの状況で何を感じればいいのだろうという話でもあるのだけれど。
横でいつも通りの表情でヒリングとコーラサワーの様子を眺めているブリングに、ちらりと視線を向ける。
「ブリング、貴方は飽きませんか、これ」
「…むしろ感心している」
「あぁ、貴方ならそう感じるかもしれませんね」
「良く続くな…」
「かれこれ三十分延々とですからね」
見ているこっちもさることながら、行う彼らもそろそろ飽きてくることだと思うのだが。それでもこちらのそんな感想を無視するように懲りずに続けている彼らは、いっそ見事と言うべきなのかもしれない。
最も、自分だったらこんな見事さはいらないが。
部屋に戻って音楽でも聴いていたいと思いながらも、目を離した隙にヒリングが何かやらかすのではないだろうかとも思えて結局動けずにいると、待機のためのこの部屋の中に別の人物が入ってきた。
「…えっと…」
「やあ、ルイス・ハレヴィ」
「あ…あの…」
有る程度は知っている相手なので軽く手を上げて呼びかければ、彼女は自然な動作で敬礼をした。それから、困惑した様子で部屋の中心を見やる。
「…これは?」
「見たとおりの光景さ」
「ヒリングと、コーラサワーの腕相撲対決だ」
「はぁ…」
端的なブリングの説明に余計に理解が及ばなくなったのか、困り果てているルイスに今回ばかりはリヴァイヴも同情した。あまりに現状はイレギュラーすぎる。時と場合によっては、簡潔な説明こそが混乱を招くこともあるのだ。
だから、珍しく説明の補足を着けてやる気分になった。
「事の始まりはこの部屋に僕たちがいた所へ、かの炭酸が来たことから始まります」
「た…炭酸?」
「コーラサワーの事だ」
「えぇ。その炭酸飲料がですね、ヒリングと何故か腕相撲対決を始めました。最初から見ていた僕らからでも理由は不明なので、その辺りは諦めてください」
「…じゃあ、二人が使ってるあの小さな机は?」
「ブリングが見つけてきてしまいました」
言ってから、はぁ、と息を吐く。
あの机さえなければもう少しくらいは自体が好転していたかもしれないのに。
何でもこなせる、というのも時としては問題だ。
「あれがあったせいで、二人の勝負がやりやすくなりまして」
「現状、ですか?」
「その通り」
おかげで約三十分、ここでこうしていることになったのだ。
何で懲りないのだろう、いや、何で飽きないのだろう。心の中で何度目になるか分からない呟きを零して、再びため息。
「あれ、何戦目か知ってますか」
「…四戦くらい、でしょうか」
「いいえ、そんな生やさしい物ではありません」
「約二十回だ」
「そっ…そんなに…?」
「えぇ。驚くでしょう」
しかも、さらに驚くべき事に、あの二人は勝って負けてを繰り返しているのである。要は実力が拮抗していると言うことだろうが、それは確実に自分たちにとっては裏目にでいる。延々とこれを見続ける理由に、間違いなくそれも入っているだろうから。
どうせなら、一回二回で圧倒的実力の差でどちらかが勝ってくれれば良かった物を。
不満を抱きながら、それでもいい加減に付き合うのにも疲れてきたリヴァイヴは、黙ってアロウズ支給の通信端末を手に取った。
それに気付いたのか、ブリングがいつも通りの静かな視線を向けてくる。
「…何をするんだ?」
「カティ・マネキン大佐に連絡を。あの炭酸飲料水を止められるのは彼女のみです」
やっぱりイノベ組は大好きです。