[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
第一期最終回の、しばらく後くらいの話…でしょうか。
刹那です。
15.雨宿り
空は曇天、天気は雨模様。
そんな中、一人でいるとどうしても色々と思い出す。
こんな日に外にいると、必ず傘を持ってくるのがいた。お前、この中でも走って帰るつもりだったろと、どこか考えを見透かしたかのように。実際にその通りだったから、何度も何度も黙ってしまうことになったけれど。
濡れて帰った場合、慌ててタオルを持ってくる相手もいた。彼の場合はその時に慌てすぎて、椅子に躓いてこけてしまったこともあった。そんな時には必ず彼の片割れが何か嗤うようで、それに反応している彼の様子をよく見た。
風呂から上がったら、呆れた表情で出迎えられることが多かった。こんな中を走って帰るなど、と彼は馬鹿にしたように言う。それで風邪でも引いたらどうするのだと、実際は馬鹿にしているのではなくて気にしているのだと気付いたのはいつだったか。
戦いの中ではあったのだが、それでもその中で仲間と触れて知った色々なこと。
それの一つを思い出させる、雨。
嫌いではない雨も、こんな時には少しばかり鬱陶しい。今は昔に浸りたい気分ではないのに。思い出すと、嫌なことまで全て引っ張り出されそうで。何とか決着を付けたと思っていた感情も、全てが纏めて掛かって来るとなるとどうしようもなく、今の自分では勝てるかどうかも怪しい。
だから、少しくらいは時間が欲しい。
整理して整頓して、感情を有るべき場所へと。
難しいかもしれないが、やるべきなのだ。
そうすることで、初めて前に進める。
進まなければならない。
死んでしまった皆に、そうでなくては顔が合わせられない。
進まなければならないのだ。
空を見上げながら思う。
果たして止まることなく進むことは、自分に出来るのか。
分からなかったが、全ては、世界を見て回ってからだとも、思う。
一向に止む気配のない雨に、刹那は。
誰も傍にいなかったときと同様に、雨に打たれてゆっくり歩いて戻ることにした。
そんな四年間もありだと思うのです。