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ようやく半分ですか…。
今回はスターゲイザーたちの話。だって『星』ですから。
50:星
夜。
スターゲイザーは部屋から空を眺めていた。
「あっという間に一日が過ぎましたね」
「あぁ…そういえばそうだな。もう一日か。半日も経っていないような気分だが」
「明日、でしたか」
たんくのための、クスリを手に入れるための大会。
ご都合展開だがRPGとはそもそもそういう展開の重なりのお陰で成り立つ物であると聞くし、ならばこの町でその大会が行われるというのもきっとそう言う物なのだろう。自分自身の感想としては、移動の手間が無くて良かったという感じだ。
何せ、人数が人数、メンバーがメンバーである。あまり移動が多いと本当に手の着けようもない事態になるだろう。幸いにして、それぞれがストッパーの仕事を果たしてくれるような相手を持っているのだけれど。
「にしても明日、誰が出るのでしょうか」
「大会か?全員参加じゃないのか」
「いえ…何人か、残っていなければならないでしょうし」
「あぁ…だとしあらどうする?残るか?」
「残りましょうか」
戦うのはゴッドやらマスターやらに任せておけばどうとでもなるだろうし。
それに、考えたいこともある。
それをそのまま伝えると、ノワールははてと首を傾げた。
「何を考えるんだ?」
「これはRPGなのですよね」
「そう言われているが…それがどうかしたか?」
「ならば、クリア条件という物があるはずです」
「クリア…」
「それを達成しない限りはここから出られないでしょう」
前回が、どうやら魔王を倒すことだったらしいように。
今回もまた、倒すか、あるいはクリアするべきイベントがあるのではないだろうか。
そして……それが出来なければ、出ることは出来ないのではないか。
スターゲイザーはそう考えたのである。
「それはそうかもしれんが…しかしどうなんだ?一体何をすればいい?」
「分かりません」
ノワールの言葉に、スターゲイザーは首を振った。仮説があったとしても、それがどういう物なのかまではハッキリとは分からない。
「…ただ、そういうイベントはあちらの方から勝手に来てくれるのではと」
「勝手、に?」
「ハイ。我々は、待っているだけで良いのではと思ったのです」
「それはまた何故」
「RPGとはご都合展開が重なり合って出来る物なのでしょう?」
「……かなり偏った見方だが、間違いではないだろうな」
「ですから、ご都合展開が今回も働くと思ったのです」
実際、そうでなければ自分たちに打つべき手はない。
現状とはそういうものである。
「だとしてな…」
しかし、ノワールはその案には反対では無さそうなのだが、どこか難しそうな表情を浮かべて腕を組んだ。
「…倒すべき相手がいたとして、ソイツは恐らく魔王より強いぞ?」
「魔王を倒した後だから、ですか?」
「あぁ。…そういう物だとガンダムに教わった」
「あの後のアレでですか?」
「物覚えが良いな…その通り、アレだ」
アレ、というのは。
以前、色々な部活を行おうとして、実際に行った後。何故だかノワールがガンダムにRPGの何たるかを強制的に教わった事を指す。一体どういう思いがガンダムの中にあったのかは知らない。ただ、何となく『しなければならない』のだと感じたのだそうだが。
お陰で、彼のゲームに関する知識が豊富になったのは行幸なのか何なのか。
本人はあまりありがたく思ってはいないようだけれども。
「ですが、強かったとしてもこちらの方が人数が多いですから」
「数に物を言わせるか?…それもありか」
「でしょう。そのためにみんないるのではないのですか?」
「や、それは違うと思うぞ、流石に」
「そうですか…」
そうなのではと、ずっと思っていたのに。
ちょっと残念だと、スターゲイザーは思いながら再び夜空の星々に視線を戻した。
スターゲイザーの認識がとてつもなく偏ってたりしたら良い。ていうか実際に偏ってそうな気がする…よ。