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一番最後の話が終わった後、くらいで。
07.落ちたりんご
今日は、何故だかCBの母艦のクルー全員とリンゴ狩りに来ていた。
理由はまぁ、沙慈が彼らと親しくなったから、その関係で。あと、スメラギという人の思いつきによる物だったらしい。四年前より切羽詰まっている状況なのにと思うけれど、もしかしたらそういう時だからこその提案なのかもしれない。たまには息を抜かないと窒息してしまうかもしれないから。
そう考えると、現状も納得出来…
「アレルヤ、それはまだ青い」
「え?あ!」
「せっかちね、アレルヤは」
「相変わらずだな。…ライル・ディランディ!それもまだ青いぞ!」
「まーまー、良いじゃねぇかこのくらい。なー?」
「私に振られても…」
「ディランディさん、グレイスさんを困らせてはいけないですぅ!」
「そーよライル。ね、ラッセも思うでしょ?」
「俺に振られても困るんだがな」
……るけどこの喧噪は一体何。
呆然とつい先日まで敵としていた人々の姿を見る。これが、CBの真実だというのか……あぁ、そういえば、四年前からこれに近い物が刹那の周りにはあった気がする。時々だったし興味はなかったから印象に残っていないだけで。
四年前からこれだったのかと思うと、何となく、今までの自分の恨み辛みがバカらしくなってきそうなのだが。
そういえば。
自分が殺してしまった仇も、こうやって騒ぐことがあったのだろうか。
「ハレヴィさん、楽しんでるですか?」
「へ?…わ!?」
突然に声をかけられ我に返って顔を上げると目の前に相手の顔があり、思わず驚きのけぞった。隣で沙慈が苦笑している気配があったから、彼女のこういう態度は普通なのだろうか。CBなのに。
そんなこちらの戸惑いにも気付かず、確か、ミレイナという名前の少女はルイスの手を取って引っ張った。
「折角のリンゴ狩りですから狩らないと損ですぅ!だから行くですよ、ハレヴィさん!」
「え、ちょ、ちょっと待って…」
「待たないのですぅ!レッツゴーです!」
「…」
凄く強引な子だった。
けれどもその強引さは決して嫌な物ではなく、ルイスは素直に彼女に従って行こうとした。実際、来たのだから来ただけのことはしないと、と思ったのもあるので。
だから沙慈も連れて行くことにして、彼の手も引く。
「行こ、沙慈」
「え、ちょっとルイスってば引っ張らないでよ…」
「お二人は仲良しですねぇ」
何だか楽しそうに、ミレイナ。
「お二人は恋人ですか?」
「え…」
「あ…その…う」
その問いに二人して顔を赤くして顔を見合わせてしまうと、ぱぁぁっと顔を明るくしてミレイナが笑った。
「乙女の勘は今日も健在ですぅ!」
「ミレイナ、そんな事はあまり訊く物じゃないと思うけど…」
「グレイスさん、ノープロブレムなのですぅ!」
「そうかなぁ…」
「そうなのですぅ!」
辿り着いた先で桃色の髪の人に注意されるもさらりと返し、というか返す気もなく普通に返答しているだけなのだけれど、彼女はそれからリンゴ狩りのための道具を手にとって、一組こちらに渡した。
「はいです、これがハレヴィさんのですぅ」
「あ…ありがとう」
「いいえですぅ。じゃあ、レッツリンゴ狩りですぅ!」
オー!と拳を上に上げる彼女に吊られて思わず一緒に上げてしまうと、隣から嬉しそうな笑みが向けられた。…少し恥ずかしいのだけれどどうだろう。
そんな恥ずかしさを紛らわすために、足下に落ちていたリンゴを蹴飛ばした。
何か仲良し東京組とCB。
全てが終わった後ならこんなこともあっても良いと思うんです。
みんな仲良く、っていうのが一番大好きだから。