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ちょっと間が空きましたが擬人化100題。11月までにRPG編は終わらせたいな…。
51:蝋燭
「たんくの調子はどう?」
「んー…治りもしないし悪くもならない状況?」
「安定してるって言えると思いますよ、お兄さん」
「そっか」
ならいいやとガンダムは思い、ベッドの端に腰掛けた。
ここは宿の一室の、たんくが寝ている部屋である。世話役を買って出てくれたアレックスとデスサイズもいて、世話なんてする気も無さそうなのもいたりするけど、少し気になったから自分たちは様子を見に来たのであった。
「にしても伝説の飛躍じゃないと治らない病気かぁ…どっかで聞いたような話だねぇ」
「一応RPGだからじゃないのか?」
「そうなのかな?」
「イベント無いと成り立たないだろこういうのって、なぁ?」
「あぁ、まぁそうだろうケド」
きゃの九と話していたきゃのっ八に話を振られ、ガンダムはこくりと頷いた。彼の言うことはあながち間違いではないだろうから。
RPGとは、彼の言うとおりそういう物である、という側面を持っていると思う。結構色々ゲームはやってきたからそこは断定する。すごろくでさえマスによってはイベントがあるのだから、こういう事態の中とはいえRPGなのだしイベントはあるに違いないのだ。
そして、この現状はそれに類する物だろう。
「にしても…たんくが病気って言うのは痛いな…戦力が格段に落ちるし」
「明日の大会ですか?」
「そうそれなんだよ…。アレックスは残ってもらうし、デスサイズも残るんだよね?で、ウイングはそもそもやる気無さそうだし…」
「当然だろう」
看病をするでもないのにずっとその場にいる不思議な人物はそう言って、壁にもたれかかったまま腕を組んで目を閉じた。
「誰がそんな面倒なことを」
「面倒事が嫌なら自爆とか止めろよ…あれも充分に面倒事だろ…」
「アレは違う」
「オレにとっては紛うことなく面倒事なんだけど」
「頑張れ」
どこまでも他人事だった。
諦めたようにため息を吐くデスサイズに同情しながら、ここにやって来たもう一つの目的を果たすことにする。
「アレックス、これ」
「あ、ハイ…ロウソクですか?」
「うん。もうちょっと起きてるんだよね?なら今使ってるロウソク多分保たないし。予備だよ予備。どうせ俺たち使わないし」
当初は同じ部屋にいることになっていた自分たちだったのだが、たんくが風邪を引いて看病係が数名出来た事から余っていた部屋に移ったのである。彼らがここで泊まると思ったから、寝床を開けるために。そして、移ったそこにロウソクの予備があったから持ってきたという顛末だ。
この流れで成る程、開いていた一部屋はこういう事なのかと納得したりもした。
どうりで開いているわけである。お陰で何も考えずに部屋を開けることが出来たのだが……これもご都合展開か。
「マッチとかはあったよね?」
「それは大丈夫です。それに……」
「それに?」
「もしも無くなったらビームサーベルで火は付けますから」
「…あぁ、そう」
そんなんで使うのか、ビームサーベル。
ていうかつくのか、火。
アレックスの言葉にツッコミを入れたかったのだが、そんなことをしたら今度はウイングのあの銃的な物でつけるとか言い出しそうな気がしたので止めた。流石にそんなことをされたら宿が大変なことになる。
まさかそんなことは考えないだろうと思ってはいけない。
そう言うことほど、意外と考えられていたりするのである。
「…じゃあ、とりあえず完全安全行動でお願いしていいかな」
「大丈夫ですよお兄さん。何の問題も有りませんから」
「…そうだよね」
そうだと願おう。
どうにかそう思い、ガンダムは立ち上がってきゃのっ八ときゃの九と一緒に部屋を出ることにした。
そして出る前、少しだけ振り返って笑む。
「それじゃみんな、お休み」
電気は通ってないでしょう、という推測から。