式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ここでようやく最初と繋がるというか…。
突然殺気の収まった鬼を訝しく思いつつも眺めていたところに、見知った顔が現れたのを見て元就は困惑した。彼女が、酷く焦っているように見えたので。
そして、それはどうにか凍結から復活した慶次も同様だったらしい。
「かすがちゃん?…そんなに慌ててどうしたの?」
「前田慶次…生憎だが今はお前に構っている暇はない。それよりも…政宗!一緒に来てもらうぞ!離れては障りが出るらしいから毛利元就、お前も共に来い!それからそこの鬼!貴様も役に立ちそうだから一緒に来てもらう!」
「え?おい、今俺たち取り込み中…」
「知るか!貴様らの都合など知ったことではない!」
突然の乱入者に戸惑う鬼を一喝して、かすがはぐ、と政宗の手首を掴んで引っ張って……そのまま早足で去っていってしまった。鬼に一喝出来るとは、あれで本当に妖か。
というかそれよりも…あの急ぎ様は…見覚えがある。
「上杉謙信が倒れたか…?」
「え?謙信が?マジで?」
「あやつがあそこまで急ぐ理由はそれ以外にあるまい。政宗が連れ去られた以上、我も行かねばなるまいな。…して、鬼、貴様はどうするのだ」
「行く。それが終わったら事情はしっかり説明してもらうぜ」
「我に事情説明の義務はないのでな、それは政宗に言えばよかろう」
「そりゃそうだ。俺だってテメェにわざわざ訊きたいとも思わないしよ」
「ふむ。気が合いそうだな。我もそなたと喋りあうなど怖気が走りそうだ」
何となく、見た瞬間から気に入らないと思ったのだ。
それは、自分が竜を封じた一族の者であると知った彼も同じだったようで、光栄だねと獰猛に笑って見せてくれた。本当に鬱陶しい。
「…なー、アンタらの間に絶対零度の空間が出来てるんだけど」
「気のせいであろう、慶次。それよりも追うぞ」
「追うっつっても姿がもう見えねぇが」
「向かう先など目に見えて分かっておるわ。急かすでない、この馬鹿鬼が」
「俺はんな名前じゃねぇ!元親ってんだ覚えとけ人間!」
「それを言うならば我とて人間という名前ではないぞ、鬼。我は毛利元就。毛利家の現当主であるぞ。…あぁ、だから我を殺したいのであろう?だが出来まいな」
「…何でそう言い切るんだよ」
「あれほどの殺気を放ちながら、一度でも手を止めた。それだけでそなたには我を『殺せぬ理由』があったと考えるのは容易い事」
例えば。
例えば、その理由があまりに些細な物であれば、この鬼は自分を殺していたと思うのだ。政宗が止めようとしていることに気付きながら、怒りに身を任せて。その後もしかしたら、街の方も滅ぼしていたかも知れない。鬼というのは戦闘に長けている種族だ、そのくらいはあっという間だろう。
だからこそ。
手を止めたからには大きすぎる理由があると、考えるべきだった。
たとえ自分たちには些細な理由であっても、この鬼にとっては大きな理由となる、何かがあったと考えるべきだったのだ。
「…ちッ」
思った通りであったらしく、鬼…元親は、舌打ちをして黙り込んだ。
一々反抗的な彼を一瞥して、元就はそのまま駆けだした。慶次はしっかりと付いてきている。それから後ろに元親。はぐれて迷子にでもなれば良いのにと思ったけれど、流石にそれはないだろうかと思い、残念だと感じる。
そしてそんなことを思っている間に、元就たちは謙信の呉服屋まで辿り着いていた。
何度か入ったことがある店で、殆ど勝手知ったる場所。その上慶次がいるので容赦なく中に入り込み、店の奥へと向かった。鬼の方は初めて入る店の、その奧に向かっていたからかやや躊躇い気味だったが。
意外と普通の感性かと考えつつ、元就は最終的には慶次の案内に任せ、そうして辿り着いた部屋の中で政宗があぐらをかいて座っているのを最初に目にした。直ぐ側には静かに眠っている謙信と、とても安堵した表情のかすが。やはり謙信が倒れたのか。
成る程と頷いている間に、彼はこちらを見て、に、と笑った。
「遅かったじゃねぇか。あらかた応急処置は終わったぜ?」
「ふむ。して、今回も前回と同様か?」
「まーな。均等が取れてねぇ感じ。人間の血の方が今は強いみてぇだから、とりあえず妖の血の方に力をやっといた。これでしばらくは大丈夫だろ」
「…反人反妖か?」
元親が驚いたように問いかけた。当然だろう。反人反妖は、きわめて生存率が低いのだ。
だが、政宗は何でもないように頷いた。
「そういうことだな。ま、それで大人になるまで生きてたってんだから随分と凄い根性だと思わねぇか、元親?」
「…ま、その通りだな」
「この街、壊さなくて良かったろ?」
こんな凄い奴を消さずに済んだんだから、と。
屈託無く…というのは違うが、どこか気安い笑みを浮かべて言う政宗に、元親は肩をすくめたようだった。
「…認める。違いねぇよ」
かすがなら謙信様のためならば鬼だろうと竜だろうと関係なく引っ張ってこれると思う。もちろん蛇も。
ある意味最強かもしれない。
そして、それはどうにか凍結から復活した慶次も同様だったらしい。
「かすがちゃん?…そんなに慌ててどうしたの?」
「前田慶次…生憎だが今はお前に構っている暇はない。それよりも…政宗!一緒に来てもらうぞ!離れては障りが出るらしいから毛利元就、お前も共に来い!それからそこの鬼!貴様も役に立ちそうだから一緒に来てもらう!」
「え?おい、今俺たち取り込み中…」
「知るか!貴様らの都合など知ったことではない!」
突然の乱入者に戸惑う鬼を一喝して、かすがはぐ、と政宗の手首を掴んで引っ張って……そのまま早足で去っていってしまった。鬼に一喝出来るとは、あれで本当に妖か。
というかそれよりも…あの急ぎ様は…見覚えがある。
「上杉謙信が倒れたか…?」
「え?謙信が?マジで?」
「あやつがあそこまで急ぐ理由はそれ以外にあるまい。政宗が連れ去られた以上、我も行かねばなるまいな。…して、鬼、貴様はどうするのだ」
「行く。それが終わったら事情はしっかり説明してもらうぜ」
「我に事情説明の義務はないのでな、それは政宗に言えばよかろう」
「そりゃそうだ。俺だってテメェにわざわざ訊きたいとも思わないしよ」
「ふむ。気が合いそうだな。我もそなたと喋りあうなど怖気が走りそうだ」
何となく、見た瞬間から気に入らないと思ったのだ。
それは、自分が竜を封じた一族の者であると知った彼も同じだったようで、光栄だねと獰猛に笑って見せてくれた。本当に鬱陶しい。
「…なー、アンタらの間に絶対零度の空間が出来てるんだけど」
「気のせいであろう、慶次。それよりも追うぞ」
「追うっつっても姿がもう見えねぇが」
「向かう先など目に見えて分かっておるわ。急かすでない、この馬鹿鬼が」
「俺はんな名前じゃねぇ!元親ってんだ覚えとけ人間!」
「それを言うならば我とて人間という名前ではないぞ、鬼。我は毛利元就。毛利家の現当主であるぞ。…あぁ、だから我を殺したいのであろう?だが出来まいな」
「…何でそう言い切るんだよ」
「あれほどの殺気を放ちながら、一度でも手を止めた。それだけでそなたには我を『殺せぬ理由』があったと考えるのは容易い事」
例えば。
例えば、その理由があまりに些細な物であれば、この鬼は自分を殺していたと思うのだ。政宗が止めようとしていることに気付きながら、怒りに身を任せて。その後もしかしたら、街の方も滅ぼしていたかも知れない。鬼というのは戦闘に長けている種族だ、そのくらいはあっという間だろう。
だからこそ。
手を止めたからには大きすぎる理由があると、考えるべきだった。
たとえ自分たちには些細な理由であっても、この鬼にとっては大きな理由となる、何かがあったと考えるべきだったのだ。
「…ちッ」
思った通りであったらしく、鬼…元親は、舌打ちをして黙り込んだ。
一々反抗的な彼を一瞥して、元就はそのまま駆けだした。慶次はしっかりと付いてきている。それから後ろに元親。はぐれて迷子にでもなれば良いのにと思ったけれど、流石にそれはないだろうかと思い、残念だと感じる。
そしてそんなことを思っている間に、元就たちは謙信の呉服屋まで辿り着いていた。
何度か入ったことがある店で、殆ど勝手知ったる場所。その上慶次がいるので容赦なく中に入り込み、店の奥へと向かった。鬼の方は初めて入る店の、その奧に向かっていたからかやや躊躇い気味だったが。
意外と普通の感性かと考えつつ、元就は最終的には慶次の案内に任せ、そうして辿り着いた部屋の中で政宗があぐらをかいて座っているのを最初に目にした。直ぐ側には静かに眠っている謙信と、とても安堵した表情のかすが。やはり謙信が倒れたのか。
成る程と頷いている間に、彼はこちらを見て、に、と笑った。
「遅かったじゃねぇか。あらかた応急処置は終わったぜ?」
「ふむ。して、今回も前回と同様か?」
「まーな。均等が取れてねぇ感じ。人間の血の方が今は強いみてぇだから、とりあえず妖の血の方に力をやっといた。これでしばらくは大丈夫だろ」
「…反人反妖か?」
元親が驚いたように問いかけた。当然だろう。反人反妖は、きわめて生存率が低いのだ。
だが、政宗は何でもないように頷いた。
「そういうことだな。ま、それで大人になるまで生きてたってんだから随分と凄い根性だと思わねぇか、元親?」
「…ま、その通りだな」
「この街、壊さなくて良かったろ?」
こんな凄い奴を消さずに済んだんだから、と。
屈託無く…というのは違うが、どこか気安い笑みを浮かべて言う政宗に、元親は肩をすくめたようだった。
「…認める。違いねぇよ」
かすがなら謙信様のためならば鬼だろうと竜だろうと関係なく引っ張ってこれると思う。もちろん蛇も。
ある意味最強かもしれない。
PR
この記事にコメントする