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この二人が本編で言葉を交わす事なんて未来永劫無い予感がありますが。
075:捨てられない
それを見つけたのは偶然だった。
ボンゴレ本部にて、草壁が主の事を待っているときに、通された部屋の中で偶然にそれを見つけたのである。
「これは…?」
それは、袋…しかも手作り。
何が入っているのかと手に取ってみると、ジャラ、という音。どうやら中にはコインか何かが入っているらしい。しかもズッシリと重いことから、結構な量が入っているのだろうとも推測できる。
誰の物だろうかと首を傾げている間に、ギィ、と後ろからドアが開く音がした。
「…ちょっと、それ、僕の何だけど」
「あぁ、そうでしたか」
「そうだよ。だからこっちに頂戴」
マーモンはそう言って、ふわりとこちらに向かってきた。
差し出された手に素直に袋を置くと、満足げな表情。それからそれを大切そうに懐にしまう姿は、見た目に相応した様子であるように思えた。
その様子に安心でもしてしまったのか、草壁は何となく口を開いていた。
「その袋は見たところ手作りのようですが…」
「む。分かるだろうね…これ、ルッスの手作りなんだよ」
「そうなんですか?」
「そう。しかも使用が義務づけられててね」
はぁ、と息を吐いて、続ける。
「しかも、使ってなかったらどうしてだか気付かれる」
「それは…」
「女の勘だとか言ってたけど」
バカバカしいね。
そう言って、マーモンはくる、とこちらに背を向けた。
「それじゃあね、霧の守護者の付き人。ヴァリアー以外の人間に愚痴れて、ちょっと新鮮な気分になったよ」
じゃあね、と。
ひらりと手を振って、次の瞬間マーモンの姿は消えてなくなった。
ルッスの勘は当たると思う。