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果たして、闇に生きていた彼らはどう思ってたのでしょう。
076:盾
こういう人間が、一人くらいは組織という物に必要なのは何となく分かるけれど。
何となく、気に入らないのも事実であって。
「……」
「ん?何か用か?」
殺気を込めて睨み付けてやっても大して堪えていないこの、愚鈍にさえ思える寛容な態度を取ることが出来る相手を、マーモンは忌々しく思っていた。
何というか、そうだ。あの甘い綱吉には相応しいのだろうが、最近まで野球野球と言っていた相手が手のひらを返して剣の道へなんて大分、都合が良いと自分からすると思うワケなのである。いくら元が野球少年だろうと、それはとてつもなくいただけないと考えてしまうわけであって。
従って。
力量を認めないとは言わないが、とにかく気に入らないとしか思えない相手。
山本武は、そんな人間になっていた。
人なつっこく笑みを浮かべる彼からふいと視線を逸らす。
「…何でもないよ」
「そうかー?」
「何度も言わせないでくれる。何でも無いったら無いんだよ」
「そっか、悪い」
「…む」
そうあっさりと返されても苛立つのだけれど。
イライラとしながら、どうしてこんなのをスクアーロはこっちの世界に引き入れたんだろうかとマーモンは半ば本気で思う。こんなの、好きなだけ野球をやらせて捨て置けば良かったのに。
そうしなかった理由は当然知っている。そうしてしまうには惜しい逸材であったことくらい、分かっている。
だからこそ、余計に苛立つのである。
必要性が分かっている気に入らない相手。それがこれほどまでに厄介な相手だとは思わなかった。彼のような、進んで仲間を守るような事が出来る、人材は必要であると知ってはいるのだけれど。
現実とはやはりままならない。マーモンははぁ、とため息を吐いた。
光の世界に生きていた人が、突然そちらに足を踏み入れることに、彼らは何を思ったんでしょうか、という事。