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確実に、敵と定まったようです。
早朝、ソーマはマリーとアレルヤと一緒に、飼育小屋へとやって来ていた。
そろそろ、様子を見に来ようと思っていたのだ。タオツーにも会いたかったし、ティエレンのことも撫でたかったし。要はストレスが溜まっていたのかも知れない。あの刺客とやらがやって来てから、心休まるときはそんなに無かった。
本当に。
アイツらは、速く消えてくれればいいのだ。
「そういえば寮の猫たちは元気かしら」
「キュリオスたちのこと?うん、とても元気だよ。でも…ちょっと昨日から落ち着いてるかな。寮の中の空気がぴりぴりとしてるから」
「あの教員どものせいだな」
ソーマは険呑に目を細め、ボソリと呟いた。
一目見たときから気に入らない連中だったと断言できる、彼ら。一目見ただけで嫌えるほど嫌いだった彼らは、見事に自分たちの敵として密かに認定されている。
あの刹那ですら一目で嫌ったという相手。
全校生徒ならば言わずもがな、である。
……ただしかし、そんな中で『分からない』のが横を歩いているアレルヤだ。
彼は、嫌いとは言わない。けれど好きとも言わない。そんな曖昧な位置に立っていた。恐らく、自分から、意図的に。
それが何を意味するのか、ソーマにはあまり理解できない。嫌うなら早く嫌って、追い出してしまった方が良いだろう。好くというのならばその道から引き替えさせるべく、こちらで尽力をするのみだ。
もしかしたら、もっと判断材料を求めているのだろうか。
だとしたら、それは。
それで彼から嫌われたら。
きっと、それは。
「ソーマちゃん?」
「……何、でしょう」
突然かけられた声に内心でヒヤリと驚きつつ、それを努めて顔に出さないように言葉を返すと、何でもないよという返答が返ってきた。様子がおかしい自分を心配して声をかけてみたが、案外なんでもないようでホッとした、というところだろうか。
何とかごまかせたと胸をなで下ろしていると、直ぐ横からクスクスと笑い声が聞こえてきた。いつの間にか横に移動してきたマリーの物である。
彼女にはばれているのだろう。何だかんだと言ってやはり双子というのだろうか。それとも姉妹だからこそだろうか、彼女には中々嘘はつけない。逆もまた然りで、彼女は自分に嘘を吐くことを不得手としている。
そんな彼女は、どこか柔らかに落ち着いた様子で、行った。
「ソーマ、あまり先のことばかり考えない方が良いわ。その時はその時だもの」
「しかし…分かっているだろう?今回は、前回よりも酷くなる恐れが…」
「その前回、というのを私は知らないけれど…ソーマ、アレルヤの前で言って良いことなのかしら?」
「…!」
その言葉に。
ソーマは慌ててアレルヤの方を見たが、彼はいつものように困ったような笑みを浮かべてこちらを見ているだけだった。
けれども、心の中では一体何を思っているのだろう。
「おやおや、朝早くから何をしておいでですか?」
しかし、そのことに関する思考は無粋な一つの声で壊されてしまった。
誰なのかは考えるまでもない。既に声は把握している。敵の事を知るのは全ての第一歩なのだから。
「おはようございます、リント先生」
「おはよう、ソーマ・ピーリス」
振り返りながら敵意を込めてそう言うと、相手は何も堪えた様子はなく笑って肩をすくめた。しょうがない子供。そう言われたようで少しだけ頭に血が上る。殴ろうかと拳を握りしめたが、その上から触れる暖かな体温にスッと頭が冷えた。
その手の形をした体温の持ち主を見上げると、彼は、静かにリントを見据えていた。
「おはようございます。こんな校舎の裏の端に、何か用でしょうか」
「いいえ。こんな所には来たくもありませんでしたが、生徒がいるのなら足を運ばなければならないのが教員でしょう。しかし…飼育小屋ですか。ここにはよく?」
「…えぇ、よく、来ます」
「それはいけませんね」
マリーの言葉に、まるで冗談のように嫌な口調で、相手は言う。
「それはいけません。勉強の妨げになります」
「…それは…つまり…?」
「つまりですね、ここには立ち入りを許可しません。立ち入り禁止ですよ、諸君」
横暴。
その言葉が頭をよっぎった時、ソーマの体は既に動き出していた。
握り拳を作り、足は地を蹴り、素早くリントの傍によって、その少し高いところにある頬を、力一杯殴りつけた。
対して、相手はは。
「…貴方も、どうやら停学してもらう必要があるようですね」
ニヤリと、笑った。
ソーマの完全なる敗北だった。
この人たちの辞書には、恐らくゆとり教育というものは無いのでしょうね…真面目な話。
そろそろ、様子を見に来ようと思っていたのだ。タオツーにも会いたかったし、ティエレンのことも撫でたかったし。要はストレスが溜まっていたのかも知れない。あの刺客とやらがやって来てから、心休まるときはそんなに無かった。
本当に。
アイツらは、速く消えてくれればいいのだ。
「そういえば寮の猫たちは元気かしら」
「キュリオスたちのこと?うん、とても元気だよ。でも…ちょっと昨日から落ち着いてるかな。寮の中の空気がぴりぴりとしてるから」
「あの教員どものせいだな」
ソーマは険呑に目を細め、ボソリと呟いた。
一目見たときから気に入らない連中だったと断言できる、彼ら。一目見ただけで嫌えるほど嫌いだった彼らは、見事に自分たちの敵として密かに認定されている。
あの刹那ですら一目で嫌ったという相手。
全校生徒ならば言わずもがな、である。
……ただしかし、そんな中で『分からない』のが横を歩いているアレルヤだ。
彼は、嫌いとは言わない。けれど好きとも言わない。そんな曖昧な位置に立っていた。恐らく、自分から、意図的に。
それが何を意味するのか、ソーマにはあまり理解できない。嫌うなら早く嫌って、追い出してしまった方が良いだろう。好くというのならばその道から引き替えさせるべく、こちらで尽力をするのみだ。
もしかしたら、もっと判断材料を求めているのだろうか。
だとしたら、それは。
それで彼から嫌われたら。
きっと、それは。
「ソーマちゃん?」
「……何、でしょう」
突然かけられた声に内心でヒヤリと驚きつつ、それを努めて顔に出さないように言葉を返すと、何でもないよという返答が返ってきた。様子がおかしい自分を心配して声をかけてみたが、案外なんでもないようでホッとした、というところだろうか。
何とかごまかせたと胸をなで下ろしていると、直ぐ横からクスクスと笑い声が聞こえてきた。いつの間にか横に移動してきたマリーの物である。
彼女にはばれているのだろう。何だかんだと言ってやはり双子というのだろうか。それとも姉妹だからこそだろうか、彼女には中々嘘はつけない。逆もまた然りで、彼女は自分に嘘を吐くことを不得手としている。
そんな彼女は、どこか柔らかに落ち着いた様子で、行った。
「ソーマ、あまり先のことばかり考えない方が良いわ。その時はその時だもの」
「しかし…分かっているだろう?今回は、前回よりも酷くなる恐れが…」
「その前回、というのを私は知らないけれど…ソーマ、アレルヤの前で言って良いことなのかしら?」
「…!」
その言葉に。
ソーマは慌ててアレルヤの方を見たが、彼はいつものように困ったような笑みを浮かべてこちらを見ているだけだった。
けれども、心の中では一体何を思っているのだろう。
「おやおや、朝早くから何をしておいでですか?」
しかし、そのことに関する思考は無粋な一つの声で壊されてしまった。
誰なのかは考えるまでもない。既に声は把握している。敵の事を知るのは全ての第一歩なのだから。
「おはようございます、リント先生」
「おはよう、ソーマ・ピーリス」
振り返りながら敵意を込めてそう言うと、相手は何も堪えた様子はなく笑って肩をすくめた。しょうがない子供。そう言われたようで少しだけ頭に血が上る。殴ろうかと拳を握りしめたが、その上から触れる暖かな体温にスッと頭が冷えた。
その手の形をした体温の持ち主を見上げると、彼は、静かにリントを見据えていた。
「おはようございます。こんな校舎の裏の端に、何か用でしょうか」
「いいえ。こんな所には来たくもありませんでしたが、生徒がいるのなら足を運ばなければならないのが教員でしょう。しかし…飼育小屋ですか。ここにはよく?」
「…えぇ、よく、来ます」
「それはいけませんね」
マリーの言葉に、まるで冗談のように嫌な口調で、相手は言う。
「それはいけません。勉強の妨げになります」
「…それは…つまり…?」
「つまりですね、ここには立ち入りを許可しません。立ち入り禁止ですよ、諸君」
横暴。
その言葉が頭をよっぎった時、ソーマの体は既に動き出していた。
握り拳を作り、足は地を蹴り、素早くリントの傍によって、その少し高いところにある頬を、力一杯殴りつけた。
対して、相手はは。
「…貴方も、どうやら停学してもらう必要があるようですね」
ニヤリと、笑った。
ソーマの完全なる敗北だった。
この人たちの辞書には、恐らくゆとり教育というものは無いのでしょうね…真面目な話。
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