式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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ボス誕ということで。
おめでとうございます!
この場所がどのようなところなのかを考えてみれば、実に不釣り合いなのだろうが、今この瞬間には、間違いなく部屋の中には静かな空気が漂っていた。
別に騒々しい気配が気に入っているというわけでもなく、殺気まみれの生活も毎日にもなると面倒なことこの上ないから、まぁ、別に放っておいても良いかと思うような雰囲気。
ベッドに腰かけ背中の重みを感じながら本の頁をめくる。
何とも、不釣り合いながらに馴染んでいるものだ。静かな空気と、あまり親しくなろうとしなかったのが、この部屋にはいるというのに。それも不思議とは思えなくなっている自分に少しばかりの苦笑。案外と、黙ろうと思えば黙れるらしいと知ったのはいつほどだったのだろう。
考えても詮の無いことか。
再びめくりながら、思う。付き合いが長ければ知り得ることもまた多い、それだけの話なのだから。むしろ考える時間が無駄で考える行為が無意味だ。
そんな事を思われてるとも知らないだろう銀色の鮫は、ふ、と今気づいたとでも言わんばかりのタイミングで口を開いた。
「なー、ボス、今日は何食いてぇ?」
「適当にやっとけ。それよりも手筈は整ってんだろうな」
「抜かりねぇぜ」
確認するように問うと、背後から忍び笑いの気配が伝わってきた。いつもならここで殴るところだが、気分ではないのでそのまま捨て置く。
代わりに沈黙を作り出すと、再び聞こえる笑い声。
いつもより格段に小さなそれをそのまま聞き流せば、彼は肩を竦めたようだった。
「ま、今回が初めてってワケでもねぇから慣れもあるし、楽と言えば楽だったかもなぁ。けどな、こういうのはマーモンにでも頼めって。俺には不向きだぜぇ」
「アイツは金で動く」
「あぁ…けどなぁ、今日くらいはタダで動くんじゃね?」
「だとしても、だ」
その可能性は十分にあるから、頷く。しかし不確定要素がある以上は、何があろうと使うつもりはないというのが今のスタンスである。今欲しているのはハッキリとそこにある確実性であって、不確かな信頼ではないのである。
言外にそう返すと、アンタも大概だよなぁ、と呆れたような言葉と……さらに背にかけられる体重。
「重ぇんだよ。のけ。そもそも上司を背もたれにしてんじゃねぇよ」
「良いじゃねぇか今日くらい」
大して重くもないし苦にもならないが戯れにと口を開けば、今度も静かな笑い声が室内に響いた。先ほどからよく笑うが、何か良いことでもあったのか……などと考え、これこそ不毛だからと、やめた。
これの考えることなど、分かり切っていてどうしようもない。
それに、例えば分かり切っていようと聞いてみたとして、これは何の躊躇いもなく心内にあることを全てさらけ出すのである。
実際に、そういうことが…数年前にあった。
以来、懲りているのだ。
あんな思いを二度とはするつもりはない。
「…やっぱマーモンに頼もうぜぇ。幻術とかでどうにかしてくれんじゃねぇの?ぱぁぁっとあっという間によぉ」
「テメェは幻術を何だと思ってやがんだ」
便利な魔法か何かか。
「ん゛?便利な技術だろ?」
だがしかし、返ってきたのは予測と似通い過ぎている返事だった。魔法ではなく技術と認識できているだけでも、まだマシな方かもしれないがそれにしても。
その内ちゃんと躾けてやろうかと考えてながら、直ぐそばに見えた銀糸を軽く、引く。
すると当然背あわせにもたれかかってきている相手が全体的にこちらに引かれることになり、背にさらに重みが加わったがどうでも良い。
付け加えると、髪が引かれたことで相手には直接ダメージが与えられることにもなった。
「ってぇ!?」
「バカが。綱吉には超直感があるのを忘れやがったか?幻術は効かねぇだろうが」
「そういや恭弥も来るって言ってたし…確かに無理だなぁ」
「少しは考えて物を言え。…ところで」
「何だぁ?」
「テメェはどこにいるつもりだ?」
「そりゃ、ここだろうなぁ…つーか逃げられねぇように繋がれてるし。そんなんしなくても逃げねぇって言ってんのに」
「保険だ」
「保険って…これでかぁ」
じゃら、と鎖の音がした。どうやら右足でもあげたらしい。
その通り、これは保険だ。ただし、これが出て行かないようにではなくて、これが連れ出されないように。ただし、ただの鎖では容易く壊されるだろうから、特注製。それでもどこまで保つかは判然としないが。
「ま、アレだよな」
じゃら、と音。今度は右足を下ろしたらしい。
「今日は一日、誕生パーティさぼろうと頑張ってるボスさんの傍にいてやるよ」
「いさせていただくの間違いだろう」
そう切って返すと、違いねぇと彼は笑った。本当によく笑うヤツだ。
料理に関してはその時だけ鎖を取るから良いのです。そしてボンゴレが来る理由は、パーティ会場へ連行するため。雲雀さんはそれに協力して邪魔者を追い払うため。
スクがたくさん笑っているのは、ボスの誕生日が嬉しいから。
そんな平和な日、でした。
別に騒々しい気配が気に入っているというわけでもなく、殺気まみれの生活も毎日にもなると面倒なことこの上ないから、まぁ、別に放っておいても良いかと思うような雰囲気。
ベッドに腰かけ背中の重みを感じながら本の頁をめくる。
何とも、不釣り合いながらに馴染んでいるものだ。静かな空気と、あまり親しくなろうとしなかったのが、この部屋にはいるというのに。それも不思議とは思えなくなっている自分に少しばかりの苦笑。案外と、黙ろうと思えば黙れるらしいと知ったのはいつほどだったのだろう。
考えても詮の無いことか。
再びめくりながら、思う。付き合いが長ければ知り得ることもまた多い、それだけの話なのだから。むしろ考える時間が無駄で考える行為が無意味だ。
そんな事を思われてるとも知らないだろう銀色の鮫は、ふ、と今気づいたとでも言わんばかりのタイミングで口を開いた。
「なー、ボス、今日は何食いてぇ?」
「適当にやっとけ。それよりも手筈は整ってんだろうな」
「抜かりねぇぜ」
確認するように問うと、背後から忍び笑いの気配が伝わってきた。いつもならここで殴るところだが、気分ではないのでそのまま捨て置く。
代わりに沈黙を作り出すと、再び聞こえる笑い声。
いつもより格段に小さなそれをそのまま聞き流せば、彼は肩を竦めたようだった。
「ま、今回が初めてってワケでもねぇから慣れもあるし、楽と言えば楽だったかもなぁ。けどな、こういうのはマーモンにでも頼めって。俺には不向きだぜぇ」
「アイツは金で動く」
「あぁ…けどなぁ、今日くらいはタダで動くんじゃね?」
「だとしても、だ」
その可能性は十分にあるから、頷く。しかし不確定要素がある以上は、何があろうと使うつもりはないというのが今のスタンスである。今欲しているのはハッキリとそこにある確実性であって、不確かな信頼ではないのである。
言外にそう返すと、アンタも大概だよなぁ、と呆れたような言葉と……さらに背にかけられる体重。
「重ぇんだよ。のけ。そもそも上司を背もたれにしてんじゃねぇよ」
「良いじゃねぇか今日くらい」
大して重くもないし苦にもならないが戯れにと口を開けば、今度も静かな笑い声が室内に響いた。先ほどからよく笑うが、何か良いことでもあったのか……などと考え、これこそ不毛だからと、やめた。
これの考えることなど、分かり切っていてどうしようもない。
それに、例えば分かり切っていようと聞いてみたとして、これは何の躊躇いもなく心内にあることを全てさらけ出すのである。
実際に、そういうことが…数年前にあった。
以来、懲りているのだ。
あんな思いを二度とはするつもりはない。
「…やっぱマーモンに頼もうぜぇ。幻術とかでどうにかしてくれんじゃねぇの?ぱぁぁっとあっという間によぉ」
「テメェは幻術を何だと思ってやがんだ」
便利な魔法か何かか。
「ん゛?便利な技術だろ?」
だがしかし、返ってきたのは予測と似通い過ぎている返事だった。魔法ではなく技術と認識できているだけでも、まだマシな方かもしれないがそれにしても。
その内ちゃんと躾けてやろうかと考えてながら、直ぐそばに見えた銀糸を軽く、引く。
すると当然背あわせにもたれかかってきている相手が全体的にこちらに引かれることになり、背にさらに重みが加わったがどうでも良い。
付け加えると、髪が引かれたことで相手には直接ダメージが与えられることにもなった。
「ってぇ!?」
「バカが。綱吉には超直感があるのを忘れやがったか?幻術は効かねぇだろうが」
「そういや恭弥も来るって言ってたし…確かに無理だなぁ」
「少しは考えて物を言え。…ところで」
「何だぁ?」
「テメェはどこにいるつもりだ?」
「そりゃ、ここだろうなぁ…つーか逃げられねぇように繋がれてるし。そんなんしなくても逃げねぇって言ってんのに」
「保険だ」
「保険って…これでかぁ」
じゃら、と鎖の音がした。どうやら右足でもあげたらしい。
その通り、これは保険だ。ただし、これが出て行かないようにではなくて、これが連れ出されないように。ただし、ただの鎖では容易く壊されるだろうから、特注製。それでもどこまで保つかは判然としないが。
「ま、アレだよな」
じゃら、と音。今度は右足を下ろしたらしい。
「今日は一日、誕生パーティさぼろうと頑張ってるボスさんの傍にいてやるよ」
「いさせていただくの間違いだろう」
そう切って返すと、違いねぇと彼は笑った。本当によく笑うヤツだ。
料理に関してはその時だけ鎖を取るから良いのです。そしてボンゴレが来る理由は、パーティ会場へ連行するため。雲雀さんはそれに協力して邪魔者を追い払うため。
スクがたくさん笑っているのは、ボスの誕生日が嬉しいから。
そんな平和な日、でした。
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