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何でこの二人にしたんだろう。
009:有為転変
「どうせ儚く壊れやすい世界ならば、直ぐにでも壊してしまえばいいと私は思うのです」
「…それをどうして俺に言いに来る」
「さて、何故でしょう?」
問われ、首を傾げる。
確かに…わざわざ彼に言いに来る必要はなかったかも知れない。近場で済ましてしまった方が労力的にも楽だった気がする。けれど、真っ先にこの話を聞かせたいと思ったのが彼だったから、来たのだ。
だから理由と言えば単に『思い浮かんだから』『この話をして眉を顰める姿を見たかったから』『嫌がらせに近い何か』だと思うのだが、どれを言っても機嫌を損ねそうだったので止める。殺戮は好きだけれど、今はその時ではない。
その時が来るまで、じっくりと待つのだ。
そんなことを思っているとは知らないで、彼はため息を吐いてこちらを見た。
「…まぁ、理由なんてあってねぇようなもんだろうがな」
「ではそう言うことに。では、貴方はどうだと思いますか?」
「知らねぇ。儚かろうと世界は図太く生き抜くんだろうよ」
「儚いのにですか?」
「儚いからだろ。儚いみたいに細い紐だから、折れもしねぇ」
「引っ張ればちぎれるかも知れません」
「そんときは世界と世界がが絡み合って縄になるんじゃねぇのか?縄はちぎれにくいぜ」
「嗚呼…言われてみればそうですね」
今までもずっとそうだった。儚くて弱くて仕方がない『世界』たちは、弱い者同士が集まってそこそこの強度の縄を作り上げていた。結局強度が足りなくて、引きちぎられる結果に終わったのだけれど。
まぁ、あれは細さだけでなく質も悪かったから。
目の前の彼であったら、もっと素晴らしい縄でも編み上げるのか。彼の場合、縄なんて物ではないのかも知れないけれど。もしかしたら竜の模様が入った帯かも知れない。それはそれでちぎれにくそうだ。
「儚き者も、意外と底力はあるのですね」
「儚いからこそな。テメェには分からねぇだろ」
「ふふふ…かもしれませんね」
以上、明智さんと政宗の話。
…だから、何でこの二人。
それにしてもこの状況、もし小十郎がやってきたら絶対に明智さんを追い払っつーか切るうべく刀を抜くんでしょうね。