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何があったのかは、ご想像にお任せします。
077:正しい道
ばちん、と。
左頬に、衝撃。
「最悪だね、君」
自分の頬を叩いた雲雀はそう言い捨てて、叩いた左手を気持ち悪そうに見た。まるで、自分に触れたそこが汚れてしまったとでも言わんばかりに。
凄い嫌われようだと思いつつ、しかしこればかりは反論も何も出来ない。
素直に、頭を下げる。
「………悪い」
「…沢田綱吉は甘いから、謝ればどうにかなるかもしれないね。けど、僕は許すつもりも断罪するつもりもないよ」
君なんて、今すぐ消えてしまえば良い。
続けて言って、雲雀は、忌々しそうにこちらを見た。
「そして君も甘いんだよ、山本武。その甘さが間違いだといい加減に気付きなよ」
「…随分と、怒ってんだな」
「怒ってるんじゃない。僕は純粋に、君が気に入らないだけだよ。…今回は、特にね」
「誰も死ななかった」
「それは結果論だよ。一歩間違ったら、あるいは何人もの人間が死んでいた。別に下っ端の十人や百人、死んだところで僕は気にしないけれど、その死体の中に僕が気に入った人間が入ることは気に入らない」
「……」
確かに、今回の。
あの時の自分の判断は、間違いなく失敗だった。そのせいで何人もの味方が危機に立たされ、重傷者も少なくはないという状況になった。
けれども。
失敗ではあっても、間違いではないと、思う。
それを告げようかと口を開いたが、結局、何も言わずに閉じる。
今この状況で言うその言葉は、きっと単なる言い訳にしかならない。
それは、とても嫌だと感じた。
何があったかというのは置いておいて。
こういう事態も、あったりしたのだろうか、と。