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この二人の話も書いておきたかったのです。
078:魔力
「ねぇ、君ってどうして前髪をそんなに伸ばしてるの」
「だって王子だし」
「関係ないよ、それ」
「あるって」
「絶対に、無い」
きっぱりと言ってみても、相手はそれ程機にした様子もなくただ、そ、とだけ呟いてナイフの手入れに戻った。そして、そのナイフを何の気まぐれかは知らないが、こちらに軽く放り投げてくる。
それをトンファーで簡単にはじき飛ばして、雲雀は彼のその手入れの様子を見た。
退屈、なのである。ベルフェゴールを咬み殺すのも良いと思うのだけれど、ここではそれも中々難しい。理由は簡単で、ここにはボンゴレ本部だからである。やろうと思った途端に守護者とか暗殺部隊幹部とかが止めに入ってくるから。以前これ実行してみて、そうなると満足に体も動かせないのだと知って、以来雲雀は本部に人間が揃っているときには戦闘を行うことは控えている。もちろんやるときはやるが。
これは当然ながらベルフェゴールも同様である。彼も、だからこそこうやってナイフの手入れをしているのだろう。
そんな状態で二人、やることと言えば会話くらいしかない。
「で、理由は?」
「くどいんじゃね?王子は王子だから、それだけで理由は充分なんだよ」
「僕に納得できるように説明して」
「王子って言う理由じゃダメなわけ?」
「当然」
何を当たり前のことを。
呆れながらも答えを促すように視線を向けていると、彼は少しだけ間をおいてから口を開いた。
「んじゃ、王子の目は王子の目だから、視線を合わせると大変なことが起こるって事で」
「って事、ていう時点で既に本当の事じゃないよね」
「良いんだよ。こんなのそのくらいの理由で充分だろ」
「まぁ、否定はしないけど」
でも、本当にどうしてあんなに伸ばしちゃったんだ…?