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佐助の苦労話。あの人もそうとう気苦労絶えないだろうなぁ…。
010:閑雲野鶴
今日も佐助は忙しかった。
具体的に言うと、幸村の世話で。
「旦那!だから廊下は走ったらダメって言ってるでしょ!」
「その様なことなど言っておれぬ!」
「大丈夫、団子は逃げないから、ね!?」
「誰かに食べられてしまうやもしれぬであろう!」
「そんな意地汚いの旦那だけだから大丈夫だって!」
「む…」
と、そこまで言って。
ようやく、幸村は走るのを止めた。それでも若干歩みが速いのは、誰かに食べられるのを心配していると言うよりは自分が早く食べたいと思っているからだろう。分かりやすいが、それにしてもあの一言で走るのを止めるとは。
ちょっと意外だった。自覚はなく、純粋に誰も食べないという意図をくみ取ったからこその対応だとは思うのだけれど。
「佐助…本当に誰も食べぬのだな?」
「食べたとしてもお館様くらいのもんでしょ。旦那がそれに対抗できるとも思えないから実質問題無いんじゃない?」
「むぅ……佐助、何だかとても酷い言われような気がするのだが」
「気のせいでしょ」
「そうか?」
ならばそうなのだろうと、あまりに素直すぎるくらい素直に言葉を受け入れる幸村に若干の不安を覚えつつ、団子のある部屋に入ってみれば。
団子と…猫がいた。
一瞬の間。
「猫殿、それは某の団子でござるぅぅぅぅ!」
その後、逃げ出した猫を幸村が物凄い勢いで追いかけだした。団子を取り戻すつもりかもしれないが、一度猫がくわえた団子を本当に食べるつもりなのだろうか。…食べるつもりなのだろう。気にしないだろうから。
騒がしい気配が遠ざかっていくのを感じながら、佐助はため息を吐いた。
何日間か、静かな場所で休みたいと思う瞬間だった。
野良猫vsゆっきー。
正直、どっちが勝つかが分かりません。