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拍手再録です。
01:背後の足音(BSR:風巡る地)
たまに街に来ると直ぐコレだ。
はぁ、とため息を吐いて、政宗はくるりと体ごと後ろを向いた。
「人の後ろばかり着いてきてんじゃねぇよ」
「…むぅ…今回も気付かれてしまったでござる…」
「足音消せ足音」
「今回は頑張ったのでござるが…」
「…まぁ、最初よりは上達してるけどな」
しょげ返ってしまっている幸村を眺めつつ、再びため息。
まったく、どうして自分がこんな元気づけるようなことまで言っているのだろうか。正直、こんなことの上達などして欲しくもないというのに、これでは絶対に逆効果だ。今は意気消沈としていてこちらの言ったことなど把握すら出来ていないようだが、しばらく時間が経てば何を言われたかくらい理解するだろう。
「ていうかな、何で人の後を勝手につけんだ」
「…政宗殿はとても凄いでござろう?」
「……?いやまぁ、人間と比べれば出来ることは多いだろうけどな」
唐突な言葉に首を傾げつつも答えると、幸村はだから、と言葉を続けた。
「某はいつも驚かされてばかりなのだ…故に!決めたのでござる!」
「何を」
「無論、政宗殿を驚かせる事でござる!」
「…それで後ろから近づく、と」
「うむ!」
「アホか」
復活した幸村の顔面に軽く拳をくれてやって、貴重な時間を無駄にしたと、政宗は身を翻して走り出した。このまま彼に付き合っていたらいくら時間があっても足りはしない。それでこちらに出るやいなや撒いて来た元就を放っておきすぎたら、必ず良くないことが起こる。具体的に言うと人間の術師とどこぞの鬼の戦闘が開始されるのだ。
そこに蛇も来たら大変なことだと、とりあえず元就を探すことにする。
走る己の後ろから、追いかけてくる足音は聞こえない。
どうやら、完全に気絶したようだ。
(2010/04/18)
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