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来神時代をもっと書きたいです。そして、もしもの話です。
音楽の時間、というのは一種の試練の時間なのではないかと最近思う。
歌う事は好きだ。風呂場で何となく鼻歌を、なんてことはしょっちゅうだし、うたっている間は少しリラックスした気分になれる。
けれど、最近の音楽の時間で取り扱っているのは。
「次は音楽だねー。シズちゃん、サボっちゃダメだよ?」
「……」
「まぁ、どうしようもない欠点って誰にでもあるから気にしない方が良いんじゃないかな?静雄だってさ、何でもかんでも出来るよって言ってるような、反吐が出るような顔をしてる人間の事は大嫌いでしょ?」
「…新羅、それは一体誰を指してるのかな?…まさか、眉目秀麗キャラの俺じゃないよね」
「まさか!もしもそう聞こえたっていうのなら、それは君の耳が問題なのだと僕は言わせて欲しいんだ。何せ私は正しい事しか言っていないんだからね!」
「君さ、近々…大きな病院で精密検査を受けるべきじゃないかな」
後ろからぎゃーぎゃーと煩い声が聞こえてくるが、それに構っている暇がない程に……今の静雄は割と追いつめられていた。
何せ、最近音楽の時間に扱っている物と言うのは。
手に持っているそれに目をやり、静雄は憂鬱さを息に載せて吐いた。
「…昔から苦手だったんだよな…」
それは、縦笛……俗に言うリコーダーだった。
思えば小学校の時から、この楽器だけはダメだった。太鼓の類も、叩く時の力加減を失敗して別の意味でダメにしかけたけれど。とにかくこの笛は、それらと比べようも無い程に自分の中では『天敵』として存在している。
……もしかしたら、臨也よりも手ごわい相手かもしれない。
仇敵の名前を思い浮かべているというのに……そもそも真後ろにそれが存在していると言うのに、リコーダーによってもたらされる憂鬱さが怒りを塗りつぶす為に噴火出来ない静雄は、ただただ、ため息を吐くしかなかった。
多分、自分を倒したいと思っている奴らは、リコーダーを全員装備してくれば良いのではないだろうか。そうしたらきっと自分は戦意を喪失して、殴るも蹴るもいつもの威力の半分になると思う。
つまり、それくらいリコーダーは嫌なわけで。
「サボっちまおうかな…」
心の底から呟いた言葉は、誰にも拾われることなく廊下に消えた。
歌はDVD二巻おまけで普通に上手だったので。
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