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実際は幻術師の人が頑張ってたんだろうなぁ…。
「…で、体育館についたわけですけれど」
「…消えてねぇよなぁ…」
「そう簡単に消えてもらっても困るんですけどね…」
ぐるりと体育館を見渡して、綱吉はため息を吐いた。だからといって、消えてくれなくても、今の自分は困るのだけれど。
何せ調査しているのは七不思議に関して、どんなものか確かめて来いという、そういう話なのだ。確かめるのならば、実際にそれが引き起こされてくれなければならないのである。もちろん、どういう事なのか予測づきはしているのだが。
というのも、それが見られたのが指輪争奪戦の後、直ぐの頃だったというのである。
……最終決戦の時の話を思い出せば、分かろうというものだった。
「…お兄さん連れてきましょうか」
「は?」
「いや、もうその時の諸々を全部再現してしまえば良いんじゃないかなぁって」
「…それはそれで別に良いけどよぉ…その後はどうすんだ?クロームにでも任せるのかよ。マーモンは貸さねぇからな」
「むしろ骸に任せたいです…」
はぁ、と息を吐いてその場にしゃがみこむ。
七不思議の中の消えた体育館というのが、了平の手によるものであることは容易に想像できた。十中八九、間違いないだろう。リボーンだって『綱吉たちのやったことが』七不思議として認められていると言っていたのだから。
こうやって考えてみると、あの時は命がけでそんなことを考えている暇がなかったのだとは言っても、多少は気をつけて校舎を破壊するべきだったのかもしれない。いや、壊さないのが一番いいんだけれど。
まぁ、それは絶対に無理だっただろうし。
それに、戦闘中でなく戦闘の準備のために校舎の中がくりぬかれた事もあったし。
つまりは……とにかく校舎は壊れる運命だったのだということだ。
そう考えれば、校舎が壊れ切らなかったのは幸いだったのかもしれない。といっても、それは不幸の中の事態なのである。
……ちょっと校舎に謝りたくなってきた。
「いや、でもそれって俺たちのせいじゃないよね、むしろ俺は嫌がってたよね…?」
「何話してんだぁ?…つーかどうすんだよ、こいつは」
頭を抱えて唸っていると不思議そうに見降ろされ、それからスッと視線を外された。どうやら、スクアーロはとっとと探索を終わらせて帰ろうと考えている、らしかった。そもそも彼は巻き込まれただけなのだし、そう考えるてもおかしくは無い。巻き込んだ側からするとやはり、申し訳ないが。
けれどやっぱり、一人で夜の学校に来るのは嫌だったのだ。
「どうする、と言われても…むしろ俺が訊きたいんですけど」
心の中で一応謝りながら、立ち上がる。
「とりあえず探るしか…無いんですかね…?」
「探るって何を」
「…何をでしょうか」
「…どうしようもねぇな、こりゃ……仕方ねぇ、終わったことにして次行くぞ」
「え!?」
それって良いのだろうか。というか大丈夫なんだろうか。そう思ってスクアーロを見ると、彼に呆れたように見返された。
「じゃあ他にどうしろってんだよ」
「それは……分かりませんけど…」
でも、そんな事をしたら後でリボーンからキツイお仕置きとかされかねないんですけど。手の付け様もないのに、手を抜いたとか言いがかりをつけられて。
そう言いかけて、はたと気づく。
そういえば、この人は自分に泣き付かれ、ある意味無理やりに連れてこられたのだった。だから、リボーンからのお仕置きなんて待ってるわけもないし、あったとしても彼なら逃げ切れるだろう。
ここに至ってようやくそれに思い至り、さぁ、と顔から血の気を引かせると、そんなこちらの様子に気づいたらしい彼がどうでも良さそうに手を振った。
「テメェを置いて逃げるとか、ンなマネはしねぇから安心しとけぇ」
「え…へ?」
「……寝覚めが悪ぃだろうがぁ」
ふい、と視線をそらしながらの言葉に一瞬きょとんとしてしまって、その後、綱吉はくすりと笑った。
「ディーノさんと同級生だった時も、そうやって世話焼いてたんですか?」
「アイツの場合は…少し違うが似たようなモンかぁ…?つーか何でその話知ってやがる」
「えっと…」
そういえば本人には言うなと言われていたかと思い出しながらも、もう言ってしまったのでそれほど躊躇うこともなくありのまま、答える事にする。
「ディーノさんが、こないだこっそり教えてくれました」
「あのお喋り馬鹿……ぜってぇシメる」
…最後に呟かれた言葉を、綱吉は聞かなかったことにした。
どんな感じにシメられるのかは、ご想像に。
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