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まぁ、自殺行為ですよねって話。



 誰がそれを大事件と形容したのだったか。
 シャアは、目の前に広がる惨状を見て、今すぐにでも生徒会室に逃げ帰りたい誘惑に襲われた。誘惑と呼べるほど甘美なものではなく、もっと命に関わるような切迫したものだったような気もするけれど。
 そこは、三年C組の教室。
 教室内の机は乱雑に散らばっており、椅子はそれ以上にバラバラだった。そこまではまだ、単に暴れ回った結果と言うだけですませることが出来るだろう。この程度の被害なら、普通のケンカでも引き起こるから大事件とは言えない。
 だが、教室の中央に三つの固まりが折り重なるように倒れ伏し、その周りに見慣れた顔が仰向けだったりうつぶせだっだりで存在していては、大事件と呼ぶほか無いだろう。悪童三人組も案外出来る方ではあるのだから。ちなみに…ここにはいないがマークⅡやらダブルゼータ、プラスたちの事は言うまでもない。
 そして、その全てを叩きのめしたのであろう人物は、悪童たちの山の上に片足を置いた状態で、ぼう、と天井を眺めていた……頬に、赤い返り血をべっとりと付けたまま。
 …ここからどうやって処理すれば、良いのだろうか。
 ……というかあの血は誰のだろうか…悪童のだろうか…。
 ………それにしても、どうして悪童たちがここにいるのだろうか……。
「あ!みんな!来てくれたんですね!」
 戦慄に背を凍らせていると、メタスが泣き笑いの表情でこちらに駆け寄ってきた。どうやら彼女は難を逃れたらしい。マークⅡたちの苦難の成果か、ゼータの無意識によるものかは分からないが、多分両方だろう。
 そんな彼女は自分たちの目の前に立ち止まり、安堵を隠そうともせずに笑った。
「良かったぁ…ガンダムさん達、逃げるかもしれないって思ってたから…」
「……うん、オレも今、思った…」
「…?…とにかく!ゼータ止めてくれるんですよね!」
「……」
 メタスの言葉に、ガンダムは無言。
 それはそうだろう。この状況は思っていた以上に、キツイ。自分も彼も、まさかここまで恐ろしい光景が待ち受けているとは思ってもいなかった。先ほどから何も言わないきゃの八だって同じ気持ちだろう。
 ララァやアレックスを連れてこなくて良かった。本心から、シャアは思った。
 そして…この状況から被害者が出ないように、自分たちはどうにかしないといけない。幸いにして周りに普通の生徒達はいない。誰もがゼータの恐ろしさを理解しているのだ。
 どうやって彼を足止め、落ち着かせるべきなのだろう。
 打ちひしがれているガンダムの代わりに、それを考えようとした、その時。
 天井を向いていたゼータの視線が、こちらを向いた。





…ご愁傷様。

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