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悲鳴、というのは七不思議の中でもわりとオーソドックスだと思うのですが。
「それにしても……『響く悲鳴』…ってのは…なぁ?」
「……まぁ多分、思ってる通りの物だと思います」
「七不思議にされるなんて、君の悲鳴も有名だね」
「……おめでとう、ボス」
「おめでとうって…嬉しくないよ!?」
叫んで、綱吉は頭を抱えた。…今夜何回目だろう。
……自分が結構悲鳴を上げているのは自覚してるけれど、それを一体誰が七不思議に選んだのだろう。どこからともなく響いてくる叫び声なんて、それは確かにホラーでしかないだろうけれど。
ていうか、本当に誰が広めたんだろうか。
是非ともその人とは対話をして誤解を解きたいのだが。
それでもきっと解けないんだろうなぁなんて、ちょっとだけ諦観を込めてため息を吐いてみたりしていると、不思議そうな表情でクロームがこちらを見た。彼女から見れば、何の理由も無く頭を抱えて息を吐く、ちょっと奇妙な人なのだろう……今の自分は。
だが、とりあえず、そんな自分の反応こそが普通なのだと主張しておきたい。
「…でも、何でそんなの聞くような人が出てきたんだろ…」
「…?どういう事だぁ?」
「いえ、今までのリボーンに夜色々な行事の中には、そりゃまぁ夜中に実行っていうのもあったんですけど……」
「…へぇ?」
その言葉に、雲雀が剣呑に目を細めた。夜中に勝手に学校内に侵入した事があったのだ、と言う事実がどうにも気に入らない様子である。
今にも攻撃をされるのではないかと若干びくびくしながらも、綱吉はともかく言葉を続けることにした。…ここで黙ったら風紀委員長による処刑は確実なので、ある意味ヤケクソであるとも言えるが。
…口は災いのもととは良く言った物だ。
……ともかく。
「……俺の悲鳴を聞くには、つまり……誰かが俺たちと同じように夜の学校とかに忍び込まないといけないわけですよね…?」
「…あぁ、不法侵入者がまだいるって事?」
「可能性はあるかな……なんて」
「…ふぅん……スクアーロ、ちょっと用事を思い出したから先に行ってて」
明らかに好戦的に輝くその目。
それを見て……そして、その言葉を聞いて全てを悟ったのだろう。ほんの少し呆れたような表情を浮かべて彼は軽く手を振った。
「…やりすぎない程度にやって来い」
「大丈夫、いつもと同じだから」
対して彼はそうとだけ返して、物すごい勢いで走り去って行った。
そうしてぽつん、と取り残された自分たち三人は、
「……それがやり過ぎなんじゃねぇか…」
「…だよね…」
「……大丈夫かな不法侵入者…」
思い思いに彼の『やり過ぎ』を危惧しつつ、もう一度校舎に入るべく歩を進める事にした。もしも先ほどの話の通りに不法侵入を果たしてしまった生徒がいたとしても……これから駆けて行ったところで雲雀恭弥という存在を止める事が出来るワケが無い。
仮にいたとしたら…ご愁傷さま、ということで。
「…これで一応六個目クリアってことで良いんですかね…」
「良いんじゃねぇかぁ?とっとと七つ目やって帰るぞ」
「……うん。…ところで、ボス、」
「どうかした?」
「七つ目って何……?」
「あぁ、それはね…」
と、綱吉はクロームの言葉に答えようとした。
…した、というのは、つまり出来なかったという事であり。
ぎぃぁぁぁぁぁぁぁ……
…などという悲鳴が校舎の奥から聞こえて来て、思わず口を閉じたのである。
細長く助けを求める声に、思わず三人は顔を見合わせた。
「…本当に不法侵入者いたんだ…」
「何つーか…止めりゃ良いのによぉ…」
「……可哀想」
「…で…誰か助けに行きますか?」
「俺は行かねぇ」
「…私も」
「……だよねー」
誰も命を無駄にしたくなんて無いのだろう。
納得して、綱吉も先ほどの声は記憶から抹消しようと努力を開始した。
流石に誰も止めに行けません。
まぁ、侵入者も死にはしないでしょうしね…。
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