お題：紫陽花 11．パスワード

いつぞや拍手か何かでやった文の二期verです。ハロ日記。

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11．パスワード 

 

 

 

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・○月△日

 

　驚いた。一瞬、死人が生き返ったかと思った。

　直ぐにそれは無いと否定したけれど、思わず「生きてた」なんて口走っちゃったよ。ちょっとした不覚だったね……そんなこと無いって分かってたはずなんだから。

　ただ、そのくらいの驚きだったんだよね。

　僕の以前の相棒そっくりのその人は、どうやら以前の相棒と双子の間柄らしい。

　どうりで似てると思ったよ…。

 

 

・○月■日

 

　新しい相棒は役立たずだった。

　命中率低過ぎ。

　いや、多少モビルスーツを操縦できるとか、そんなレベルで実践に出ろっていうのが間違いなのは知ってるよ？知ってるけどさ、顔が同じで声も同じだと、どうしても以前の相棒と比べちゃうんだよね。

　どうやら彼はそれが嫌らしいのだと言うのは理解したけれど、じゃあ『ロックオン』を受け継がなければよかったのにと思うのは僕だけかな？

　まぁ、もう少しくらい様子を見よう。

 

 

・○月◆日

 

　……有り得ない。

　何でフェルトに無理矢理キスなんてしてるのこの人！

　無いよ。本当に無いよ！ちょっと様子見ようかな、って思ってたらなんて事やっちゃってんだよ本当に！もしも僕に人間と同じ体があったら殴りかかってるところだよ！？

　…ま、体はあったから廊下に出たところで偶然を装って彼の頬めがけて突撃してやったけどね。ぶつかった所、赤く腫れてたよ。良い気味！

 

 

・×月☆日

 

　新しい相棒はアニューと言う人と仲良くなった、らしい。

　とりあえず、こっちは合意のもとの仲良しみたいだから良しとしよう。カレカノになるもキスするもその先に行くも結婚するも、無理矢理じゃなかったら僕は別に何も言わないよ。個人の問題だしね、その辺りって。

　それにしても、アニューといる時はとても優しく笑うよね。

　いつもみたいな笑みより、そっちを浮かべてる方が良いと思うけど。

 

 

・▽月◎日

 

　アニューがいなくなっちゃった。

　死んじゃった。

　悲しかったけれど、それ以上に相棒が心配だったかな。ずっと近くで見てたけれど、本当に仲の良いカップルだったしね。目の前であんな事が起こったら、とてもとてもショックだと思うんだよ。

　大丈夫かな。

 

 

 

「……何だかねぇ…？」

　偶然見つけたデータベースの内容を眺めて、呟く。

「随分と最初と最後で優しさ加減が全然違う……ま、自業自得か」

　くっ、と喉を鳴らして、すぐ傍にあった電源をOFFにしている相棒を撫でる。

　何で相棒がこんな記録を付ける事が出来たのかとか、そんな事はどうでも良い。

　ここで見た、この記録だけがすべてだ。

「これからもよろしくな、相棒」

　何気なしに零したこの言葉も、もしかしたら伝わっているのかもしれなかった。

 

 

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少しずつライルに心を開いていくハロ様、でした。