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何がどうなってこうなった的お話です。女装話入ってるので注意かも。



「二名様ご案内でーす!」
 ウェイトレスの明るい声に背中を押されつつ、二人は最近できた喫茶店の中へと入った。
 中は外観と同じように明るく、壁は白い。薄茶のテーブルや二人掛けのイスはファミリーレストランであるような、床にしっかりと固定してあるものが殆ど。窓際の席はファーストフード店の二人用のテーブルとイス、といった感じ。
 そうして、二人が選んだのは窓際では無い、店の中の方の席だった。四人で……つめたら多分、六人ぐらいでテーブルを囲める場所を二人だけで占領するのは申し訳ない気もするが、今はそれほど混んではいないから良しとしてもらおう。
 テーブルの四つの辺の内イスに二つは塞がれていて、さらにもう一方は向こう側の席との仕切りの様に存在している壁があった。丁度、座ったら頭のてっぺんまで隠れてしまうくらいの高さである。
 メニューを取りながらこそりと店の中を見ると、やはりと言うべきか……女性が多い。男性の姿もちらほらと見る事は出来るのだけれど、誰もかれもが居心地の悪そうな顔をしていた。彼らはどうやら彼女連れらしいのだけれど……それでも場違いな気持ちは簡単には取れないのだろう。
 ……気持ちは痛い程に分かる。
 ぱら。とメニューを開き、一番最初の言葉を何気なく目で追って……思わず苦笑した。
「これだけ女性にオススメって空気を出しておいて『男性歓迎』ってどうなんだろうね」
「ま、そー言うんなら、男のスタッフ置いとくべきだよな」
「だよねぇ……何か、見た感じだと厨房まで男の人いないみたいだし」
「徹底してんなー……ここまで来るならあれだろ、女性限定にした方が良いって」
「そうしたって売り上げは変わらないだろうしねぇ……」
 いや……むしろ、そうした方が売り上げは上がるのではなかろうか。
 男性不信の人とか、女性だけの空気が好きな人と言うのも間違いなくいるだろうからなぁと、どっちつかずよりも偏り過ぎた方が逆に良い事もあるのに、なんて思いながらメニューをぱたんと閉じた。
「ボクは決まったよ。そっちは?」
「……ちょい待ち。今、一番高そうなケーキ探してるから」
「……あのさ、それってどうなの?」
「だって、そうしたくもなるじゃん」
 じっくりとメニューを見ている同伴者は、ほんの少しの不機嫌さを言葉の中に混じらせて言葉を紡いだ。
「こんな恰好までさせられたんだしさ」
 そう言う同伴者の格好は薄い長袖の上着だとか淡い色のスカートだとか、夏場用のおしゃれなヒールのサンダルっぽいのだとか……まぁ、普通に女の子が来ている様な物だ。ちなみに長い髪はそのまま背中に流している状態である。
 対して自分はと言うと……それよりはまともな格好だった。女性物でもちゃんと長いズボンを履いているし、靴はスニーカーでどうにか相手に納得してもらった。それでも、頭にカチューシャというのは避けられなかったのだけれど。
 少女なら、これでよかったのだろう。
 しかし、残念な事に自分たちと少女たちは性別が全然違う。
 その上、自分たちは既に高校二年生。
 これで女装で外出と言うのは……確かにきつい物がある。
 サンドロックはため息を吐いて、デスサイズの嘆きに言葉を返す事にした。
「でも、ララァさんにもらった女性限定無料券、使わないのはもったいないって言ったのは君だからね?」
「そりゃそうなんだけどさ……別の誰かにあげるとか出来なかったのか、とか思っちゃうわけだよ、オレは」
「でももらったのは昨日の放課後帰る途中で、帰宅後確認したら期限は今日までだったんでしょ?休みの日にまで人の家に行って、これ使ってとか渡すのもどうかと思うしねぇ…」
「だよなー……休みとか暇じゃないよな皆。……つーかあの人、どうしてこれを俺に渡したりするんだろーな……」
「面白そうだとでも思われたんじゃない?」
「だとすると、また同じような事があるわけか?」
「……かもね」
 それは流石に否定できなかった。
 曇り空の様な表情を浮かべる彼に曖昧な笑みを返して、それから。
 見慣れた顔を視界の端にとらえ、固まる。
「……サンドロック?」
「……今」
 不審げに名前を呼んできた彼に、一言。
「デスティニーと……ガイアさんが……このテーブルの傍通った」
「え」
「どうしようデスサイズ!ダメだって、コレ絶対にダメだって!見つかるかもしれない!見つかったら大変だよね!?月曜日の朝とか悲鳴しか上がらないよね!?」
「お……落ち着け!とりあえず叫ぶのNG!それこそ見つかる、本当に見つかるから!」
「そういう君だって叫んでるよ!」
「小声だから良いんだよ!」
 ……そんな二人の小さな恐慌状態は、もうしばらく、続いた。






とりあえずララァさんはわざとだと思う。
まぁ、見つからないように頑張ってくださいね。
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