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作戦決行です…が。
「で、その計画とやらの決行は何時なんだ?」
「今すぐ」
即答。
やる気以外を感じさせないその言葉に盛大にため息をついて、マークⅡはゼータの手の中にある物を見やった。
どこから調達してきたのか分からない、可愛いラッピングを施された袋。袋の中に入っているのはクッキーであるという事は既に聞き出していて、それがまた普通のクッキーではない事も教えられている。
自分でやったわけでもないだろうし、事が事だからメタスに頼んだわけでもないだろう。女子の誰かに事情を隠して協力してもらったのだろうかと思いながら、じぃ、と見るのは袋のすぐ傍に添えられている封筒。
あれは、手書きの手紙だ。丸文字、というわけではないが、これまた、どこか可愛らしさを感じる文字で好意を綴った物。ラブレターとは違うのだが、まぁ、内容はその一歩手前くらいだったと思う。
……それをゼータ自身が書いただなんて事実、知りたくなかったが。
「これを職員室のジ・Oの机の上に置くんだが、」
この計画のためだけに筆跡を変える訓練をしたのだと語っていた友人は、そこで困り切ったかのような表情を浮かべた。彼にしては珍しい表情だが、だからといってそんな物にいちいち注視している余裕が残念ながらマークⅡの方になかった。
「ボクがこれを机の上に置いた事は秘密にしなければならないのに、今日は職員室が無人になる事が無いんだ」
「……じゃあ、計画延期したらどうだ?」
「それは嫌だ。……とっととアイツの苦しむ顔が見たい」
普段と全く変わらない表情と声音で、さらっと問題発言を口にするゼータに恐ろしさを感じながらも、マークⅡはクッキーの正体が本気で気になり始めていた。普通じゃないと言う事だけしか知らないそれがどのような物なのか、実はそんなに知らないのである。
まぁ、だからといって尋ねる勇気は無いのだけど。
この実行力を別の所で発揮してくれないものだろうかと嘆きつつ、じゃあ、と口を開く。
「職員室の先生方に協力してもらえば良いじゃねぇか」
「先生方に協力してもらう……?」
「口裏合わせってやつ」
職員室内にいる教師の顔ぶれにもよるが、場合によれば問題なくすんなりと、こちらの頼みは聞き入れられるのではないだろうか。
マークⅡにの言葉を受けて、しばし考え込んでいたゼータは数秒後、静かに言った。
「……そうする事にする」
ゼータは、ジ・Оをどうこうするためなら労力を惜しまない気がするのです。そして手段も選ばないはず。包丁とか持ち出さない時点で、既に手加減してるような感じだと思うのですよ。
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