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月明かり=夜。というわけで。
緑組のお悩み相談室です。
07:月明かり
夜。それは、無駄な音の無い静寂の刻。
その中に身を浸していた元就は、おもむろに口を開いた。
「用があるならさっさと出て来ればよかろう」
「あらぁ、ばれちゃってた?」
「我を誰と思うておる。……して、何用だ?」
影の中に突然現れた影に鋭い一瞥をやると、それは軽く肩を竦めた。
「そんな警戒しなくても、暗殺なんかじゃないから安心してよ」
「他国の者の……しかも忍のかような言、ただでは信じられぬぞ」
「いや、でも本当なんだって」
苦笑して影……否、佐助は言葉を続ける。
「今回来たのはちょっとその頭を貸して欲しかったから」
「ほう?」
「あのさぁ……真剣に訊くんだけど」
ほんの少し声をひそめて、彼は言った。
「旦那……真田幸村をどうにかする方法、って、何かないかな」
「……」
そして予想外の台詞を吐いた彼の前、元就は口を閉ざした。
夜中に敵……では今のところ無いにしても、味方でもない相手の本拠地を訪問して、用件がそれというのは如何様な物か。いや、何となく自分にその問いを投げかける理由の方は分かるのだが。おおかた、最早、友軍内では彼の主の猪突猛進っぷりは『どうしようもない事』だと匙を投げられ、真剣に考えてくれる相手がいないのだろう。
ある意味同情できる話だと思いながら、けれども元就も似た様な気持ちであり。
どこか投げやりな気分を抱きながら、口を開いた。
「あやつの頭上より富岳でも落として見れば良いのではないか?」
「……やっぱ、そう言うのしかもう無い?」
対する忍は酷く深刻そうで。
その様には憐憫すら覚えるのだが、自分が対幸村として持てる策など一つも無い。
だから続けて言った。
「あるいは崖から頭が下になるように突き落とせ。それでも治らぬと言うなら、もう手の打ちようも無かろうよ」
富岳を落とせとかちょっと無理でしょう…とか言ったらだめなんです。佐助ならきっとできる…多分。
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