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ジ・Оだってやるときはやるよ…………多分。



 ぴたり、とゼータは足を止めた。
 ……作戦はどうやら失敗したらしい。
「数時間ぶりですね。お元気ですか?」
「……お前の顔を見たら気分が悪くなった」
「そうですか。それは大変ですね」
 校門に背を預けて立っていた作戦の標的はそう言って、薄く笑みを浮かべた。
 まるで、こちらを馬鹿にしているかのような態度だと思った。いや、実際馬鹿にしているのだろう。自分の実行した作戦は彼に見破られてしまったようだし(だから倒れていないのだろう)、彼からすればこんな物は作戦の内に入らないのかもしれない。
 やはり、慣れない事はするべきではなかったのだ。たまにはこちらから罠を仕掛けてひっかけてやろう、だなんて思いつきなんて。せめて何回か練習した後だったら良かったのかもしれないけれども。
 こうなってくると、協力してくれたデスサイズに申し訳が無い。あと、犠牲になったというウイングに対しても。後で謝りに行こう。
 そんな事を思っている間にか、気付けば目の前まで歩み来ていたジ・Oは、妙に穏やかな表情を浮かべて口を開いた。
「随分と可愛らしい作戦でしたねぇ」
「……だったら何だ」
「いえ、特に何も無いんですけれど」
 と。
 その言葉と共に相手の右手が動き、気づいた時にはその手が持っていた何かが、こちらの口の中に放りこまれていた。
 驚いて思わずそれを噛み砕くと、口の中に有り得ないほどの甘さが広がった。ふんわり、なんて生易しい物では無く、これは……そう、どろり、という方が正しい様な。最早菓子だなんて呼べないような代物に改めて驚愕し、思わず口を抑える。
「いかがです?」
 信じられないほどの甘さと戦っているゼータの耳に、大嫌いな声が届く。
 気に入らない声音に、きっ、と相手を睨みつけると、相手の方は心の底から呆れているのだと言わんばかりの表情を浮かべた。
「全く……こんな甘過ぎる物、普通の人の食べる物じゃありませんよ」
 その言葉に虚を突かれ、一瞬、思考が止まる。
 そんな事を言うというのは、つまり。
「……食べた、のか?」
 どうやら、これがこちらの作戦であると分かり切っていた様なのに。倒れていないと言う事は、クッキー一枚分も食べていないと言う事だろうに。
 それでもあえて一口齧ってみたのだとしたら、彼の思考回路というのはワケが分からないくらい歪んでしまっているに違いない。
 仕事が残っているのか、学校の方に帰っていく背を見ながら、そんな風に思った。






罠だと分かってたけど、何となくゼータが何をどうしようとしたのかが気になってクッキー食べちゃったジ・Оさんが文句を言いに来るお話、でした。
なんだかんだで劇場内では負けっぱなしなジ・Оさんですが、やる時はやる人だと思いたいです。たまにはこういうことだってあると信じたい。
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