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そういえば小説に、リヴァイヴは音楽系に興味があるって記述があったっけと思ったので。
13.割れたCDケース
「……誰ですか、これを割った人は」
皆が集まる部屋に突然現れたリヴァイヴの、第一声はそれだった。
何故だか微笑みを浮かべていて、そのくせ額には青筋が浮かんでいる仲間の手にあるのは、透明で薄い割れた四角のケース。良く見れば中にある丸い円盤も、そのケースと同じように真ん中で二つに分かれてしまっている。
それを見やって、ヒリングはリジェネと互いにソファーに座ったまま顔を見合わせた。
「あれって、昨日アンタが割ったヤツじゃないの」
「今朝君が割った分じゃなくて?」
「私が割った分は、中のディスクは青かったわよ。あれ、赤いじゃない」
「じゃあ僕も違うね。昨日のは黄色かったし」
「……二人とも、聞こえているんですが」
顔を引きつらせながら、リヴァイヴが呻いた。
聞こえないようにと小声で話していたのに、流石は地獄耳、この程度の音量ならば苦も無く拾い上げる事が出来るらしい。
今度から内緒話は脳量子派を使ってやろうか何て考えて、リジェネは直ぐにそのアイディアを打ち消した。それでは自分たちだけではなく彼の方にまで内緒話の内容が伝わってしまう可能性があるから、この案はダメだ。
「でも、本当に私たち赤いのは知らないわよ?」
「そうですか。では、後で青いのと黄色いのに関して訊きたい事が幾つかあるので……覚悟しておいてくれますか?」
「い・や」
べぇ、と舌を出して、ヒリングは立ち上がった。
「あれ、どこか行くの?」
「部屋に戻るのよ。内側からしっかりキーロックかけて、リヴァイヴが来ても追い返せるようにするの。名案だと思わない?」
「名案じゃ無いうえに、僕に聞かれてたら意味が無いでしょう」
「問題無しよ。リヴァイヴが邪魔してくる前に部屋に入ったら良いんだもの。リヴァイヴはこれから赤CDを割った人を探すんだものねー!私に構ってる暇なんて無いでしょ?」
明るい笑顔を浮かべながらそう言って、ヒリングはそのまま風の様に部屋の中から走り去ってしまった。
「あ、ちょっと待ちなさい!」
そして、それをリヴァイヴの方も追いかけて行ってしまって。
部屋に残ったのは、何故かリジェネだけだった。
「……ま、静かになって良いかもね」
このまま大きいソファーを一人占めして、ごろりと横になって眠ってしまうのも良いかもしれない。いつもはリボンズが占領しているこの席だから、こんな事が出来る今という時間は本当に貴重だ。
誰も来ない内に実行してしまおうと、体を横に倒してから仰向けになって。
「……あれ、何で君がここにいるの?」
「いや……」
ブリングの顔を視界に入れて、ぱちくりと目を見開いた。
ちょっとだけ驚いている自分に、少し言いにくそうに、それでも彼は口を開いた。
「……尋ねたい事がある」
「僕にこたえられる事なら答えても良いけれど?」
「……人の物を割って謝りに行く時、注意するべき事は何だ?」
「……あぁ、」
その言葉にピンと来た。
「あの赤いCD割ったの、ブリング?」
「いや、違う」
「あれ?」
じゃあ何でそんな事を聞くのだろうかと首を傾げると、ブリングはさらに言いにくそうな表情を浮かべた。
「俺は、それを訊いてくるように頼まれただけだ」
「じゃあ、頼んだ人があのCD割っちゃったわけだね。誰?デヴァイン?」
「……リボンズだ」
「へぇ?」
返ってきたのは意外な答え。
まさか、あの彼がそんな事をしてしまうとは。自分やヒリングの様に意図的に彼のCDを割ったとかいうわけではなくて、リボンズの場合は普通に事故だったのだろう。手を滑らすとか、その上に腰をおろしてしまったとかで。
珍しい事もあるものだと笑って、リジェネはブリングの……否、リボンズから問いに答えた。相手が相手だし、今回は真面目に。
「特に注意することなんて無いと思うよ?普通に謝れば良いんじゃない?」
リヴァイヴは、リボンズの失敗ならだいたい目を瞑ってくれる予感。ヒリングやリジェネだったらすぐさま仕返すでしょうが。
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