式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
空中庭園=スペースコロニー、みたいなノリで。全然違うだろと突っ込まないでください。自分でも薄々じゃ無く分かってます。
マークⅡとゼータの話。白辺です。
067:空中庭園
「……宇宙に移住する利点はあるんだろうか」
「……そりゃ、住む場所が増えるんだから利点はあるだろ」
「……成程」
ぱたむ、と読んでいた本を閉じながらゼータは頷いた。
それを眺めつつ、マークⅡは閉じられた本に手を伸ばした。
あっさりと差し出されたそれを受け取り、しおりの挟まれたページを開いて理解する。突然何を言い出すのかと思ったが、どうやらこの本が原因らしい。
宇宙に移住する人々の話が綴られた物語を返してから、頬杖をつく。
「で、お前はどう思ったんだ?」
「……どう、とは?」
「利点でもそうじゃなくても何でもいいから、何を思ったのか聞かせろって言ってんだよ」
オレばかり言っててもフェアじゃ無いだろ、と続けると、彼は少し悩むそぶりを見せた後、いつもの様に口を開いた。
「……怖くないのだろうかと思った」
「怖い?……何でだ?」
「宇宙には空気が無いだろう?それに、上に上がるまでにシャトルが壊れたら、終わりだ」
確かに、壊れる場所や高度にもよるだろうが、乗員が無事である可能性はそれほど高くないだろうとは思う。が。
「んなこと言ったら飛行機はどうなるんだよ。あれだって墜ちたら終わりだろ」
「あぁ、そうだな……」
危険なんて今さらなのだ。空を飛ぶ飛行機に乗らなくたって、地を走る車にだって跳ねられてしまえばそこで終わり。
「……けれど、」
しかし、彼は言葉を続けた。
ほんの少し、表情に困惑を込めながら。
「だからこそ、そう思うのかもしれない」
「は?」
どういう事だと視線で尋ねかければ、分からないと言わんばかりに肩を竦められた。
白辺設定じゃなくても良い気がするんですけれど、普通の方はあの、既にコロニーが「当たり前」になってて、こんなことすら思わないんじゃないだろうかと思って。
だって既に「しおさい」とか「やまびこ」とかあるんですもん。コロニー万歳じゃないですか。
PR
この記事にコメントする