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メタス最強伝説。そして……、みたいなお話に。



 その連絡が入ったのは、プラスと分かれて一分後だった。
「は?メタスちゃんとはぐれた!?」
『はぐれたっていうか置いてかれたっていうかな』
「のんきにンなこと言ってる場合か!?置いてかれたって……何やってんだよ!」
 やるときにはやるだろうと思ってメタスと行動するように言いつけたはずなのに、一体どうしてそんな事になっているのだ。
 こうなるなら自分が付いて行けば良かったと、眉間のしわを揉み解しながら呻き、ゼータは良いからメタスを探せと言おうとしたマークⅡだったのだが。
『……なぁ、メタスって50m走を五秒で走り切れそうな速度、だせたっけ?』
 携帯電話から聞こえてきた妙に切なげな声に、思わず黙る。
 50m走を五秒……なんて、有り得ない。有り得るわけが無い。確か、メタスの50m走の記録は九秒台だったはずだ。九秒ジャストくらいで、微妙に八秒台には届かない様な足の速さだったと思う。
 それが五秒で走り切れそうな速さ。
 ……黙る以外のどんなリアクションを取ればいいのだろう。
 先ほどまでのダブルゼータを責める様な気持はすっかり息をひそめ……るどころか、内側から綺麗に抹消され、代わりに内側に存在したのは同情だったりするのだから、その証言によって与えられた衝撃の大きさが分かろうものだった。
「あー……怒鳴って悪かった。えっと……じゃあ、ゼータ探すのはついでで良いから、まずはメタスちゃんを捜してくれるか?ゼータ絡むと何するか分からないし」
『おー。んじゃ、そっちも頑張れよ』
「あぁ。じゃあまた後で」
 互いに応援を送り合ってから通話を切り、携帯電話を折りたたむ。それからそれを服のポケットにしまった後、マークⅡは顔を上げた。
 探し人が二人に増えてしまったが、やることは変わらない。
 もう少し頑張ろうかと、改めて足を踏み出した。
「マークⅡ」
 ……ら、突然後ろから声をかけられた。
 しかも、その声は何だか聞いたことがある様な声で。
 勢いよく振り向くと、彼が不思議そうな表情を浮かべて首を傾げているのが見えた。
「こんな時間に……一体どうしたんだ?」
 …………それを訊きたいのはこちらだと、そう思って。
 とりあず、予定通り軽く拳骨をゼータの頭の上に落としておいた。
 






メタスはゼータのためなら限界なんて超えるどころか破壊して行っちゃうと思うんだ。
そしてゼータはゼータで、マイペースに発見したりされたりすると思うのですよ。
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